宇宙に意識はあるのか? 科学者が本気で議論「宇宙には原意識クラウドが存在し、人間も接続されてる」「いいや、それは違う」
■宇宙と人間、どちらが“神”なのか
一方、2008年に逝去したアメリカの物理学者ジョン・ホイーラー博士は量子論から宇宙の現象にアプローチしている。
量子論を語る上で有名な思考実験である「シュレーディンガーの猫」や、実際に実験で確かめられた「二重スリット実験」などで明らかになった原子レベルの異様な振る舞いのメカニズムを説明するものは、不確実な状態に陥った宇宙全体が、意識的な存在、すなわち我々によって観察されたときに明瞭な実際の存在になるとしている。つまり宇宙は我々人間の“観察”を前提にして存在しているということだ。
「私たちは自分の周囲だけにとどまらず、遠く離れた場所に身を置ける“参加者”なのです」(ジョン・ホイーラー博士)
“量子もつれ”の状態にある2つの量子は、時空を越えた関係性を築いていることが確認されているが、同じように我々の意識もまた時空を超えて宇宙につながっているというのがホイーラー博士の主張である。ホイーラー博士はこの理論を参加型人間原理(participatory anthropic principle)と名づけている。
人間の存在があってはじめて宇宙があるという「人間原理」を1970年代に最初に提唱したのはブランドン・カーターといわれているが、ホイーラー博士はさらに一歩前進し、人間が主体的に宇宙に関わろうと観察・参加することで宇宙が構成されてくるという参加型人間原理を提唱した。そして実際に実験装置を使って、人間の観測が現実を変える可能性を示している(ホイーラーの遅延選択実験)。
このホイーラー博士の参加型人間原理は、マットロフ氏の見解とは真逆といっていいものになる。端的に言ってしまえば、マットロフ氏には大宇宙が意思を持った“神”であるのに対し、ホイーラー博士は人間こそが“神”であるとしているのだ。
いずれにしても宇宙と人間をめぐる壮大な思考実験なのだが、今日にあっても事あるごとに議題にのぼるトピックスで熱い議論が交わされている分野である。夏の眠れない夜に考えてみてもよいのかもしれない。
参考:「NBC News」、ほか
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