トカナ > 科学 > 宇宙に意識はあるか? > 2ページ目

宇宙に意識はあるのか? 科学者が本気で議論「宇宙には原意識クラウドが存在し、人間も接続されてる」「いいや、それは違う」

■宇宙と人間、どちらが“神”なのか

宇宙に意識はあるのか? 科学者が本気で議論「宇宙には原意識クラウドが存在し、人間も接続されてる」「いいや、それは違う」の画像2故ジョン・ホイーラー博士 画像は「Wikimedia Commons」より

 一方、2008年に逝去したアメリカの物理学者ジョン・ホイーラー博士は量子論から宇宙の現象にアプローチしている。

 量子論を語る上で有名な思考実験である「シュレーディンガーの猫」や、実際に実験で確かめられた「二重スリット実験」などで明らかになった原子レベルの異様な振る舞いのメカニズムを説明するものは、不確実な状態に陥った宇宙全体が、意識的な存在、すなわち我々によって観察されたときに明瞭な実際の存在になるとしている。つまり宇宙は我々人間の“観察”を前提にして存在しているということだ。

「私たちは自分の周囲だけにとどまらず、遠く離れた場所に身を置ける“参加者”なのです」(ジョン・ホイーラー博士)

“量子もつれ”の状態にある2つの量子は、時空を越えた関係性を築いていることが確認されているが、同じように我々の意識もまた時空を超えて宇宙につながっているというのがホイーラー博士の主張である。ホイーラー博士はこの理論を参加型人間原理(participatory anthropic principle)と名づけている。

 人間の存在があってはじめて宇宙があるという「人間原理」を1970年代に最初に提唱したのはブランドン・カーターといわれているが、ホイーラー博士はさらに一歩前進し、人間が主体的に宇宙に関わろうと観察・参加することで宇宙が構成されてくるという参加型人間原理を提唱した。そして実際に実験装置を使って、人間の観測が現実を変える可能性を示している(ホイーラーの遅延選択実験)。

 このホイーラー博士の参加型人間原理は、マットロフ氏の見解とは真逆といっていいものになる。端的に言ってしまえば、マットロフ氏には大宇宙が意思を持った“神”であるのに対し、ホイーラー博士は人間こそが“神”であるとしているのだ。

 いずれにしても宇宙と人間をめぐる壮大な思考実験なのだが、今日にあっても事あるごとに議題にのぼるトピックスで熱い議論が交わされている分野である。夏の眠れない夜に考えてみてもよいのかもしれない。

参考:「NBC News」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

仲田しんじの記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

danger
イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

イタコ、霊媒、エロ祈祷…エログロナンセンスな超常現象ドキュメンタリー『恐怖・怪奇・悪霊 超常現象の世界』とは?

※こちらは2020年の記事の再掲です。 ――絶滅映像作品の収集に命を懸ける男・...

2024.02.27 08:00奇妙
青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

青酸カリで人を殺すのは意外と難しい。推理小説のトリックは概ね間違いだった!?

【ヘルドクター・クラレの毒薬の手帳 第1回、青酸カリ/後編】  ※本記事は2...

2024.02.07 08:00科学
【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

【毒薬の手帳】ググっても出てこない、青酸カリの本当の話

本記事は2015年に掲載された記事の再掲です。 【ヘルドクター・クラレの毒薬の...

2024.02.06 08:00科学
九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

九州地方で正月に行われていた飲尿儀式の伝統があった!?

※本記事は2018年の記事の再掲です。 【日本奇習紀行シリーズ】 九州地方 ...

2023.12.30 08:00奇妙
運気を爆上げして「引き寄せの法則」を発動!! 激動の時代を生き抜くための波動グッズ3選

運気を爆上げして「引き寄せの法則」を発動!! 激動の時代を生き抜くための波動グッズ3選

癒しフェア 2024in大阪 広瀬学 講演 「アリス矢沢透のなんでも応援団!内...

2024.04.19 10:00スピリチュアル

宇宙に意識はあるのか? 科学者が本気で議論「宇宙には原意識クラウドが存在し、人間も接続されてる」「いいや、それは違う」のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

トカナ TOCANA公式チャンネル