皇室にも献上された! 隕石から創られた「流星刀」の持つ妖しい輝きと実用性とは?
■隕鉄と武器とフィクションと
隕鉄を創作作品のアイテムとして採用する場合、「加工が非常に難しい」「鉄隕石は鉄とニッケルの合金で、素材の特徴から柔らかい」という点は特に留意しておくべきでしょう。世界最高レベルの銑鉄・鍛刀技術を持つ現代日本の名刀匠をもってしても、隕鉄の扱いに四苦八苦しているのです。単に原石から鉄を削り出し鉄部品として扱うならともかく、それなりの実力を持つ技術者でなければ隕鉄の鋳造加工さえままならない、ということは容易に想像がつくでしょう。
また、流星刀製作の依頼主である榎本は「隕鉄は霊験あらたかな日本刀の素材に最適」とも考えており、世界的にも隕石は「天からの授かり物」「何らかの魔力を持っている」と信じられていました。そこから考えるに、隕鉄で作られた品物は「不思議な力が秘められた呪物」として扱うのが無難ではないでしょうか。
7世紀ごろの西洋で使われていた鉄の剣のように「敵を斬り付けるとその度に曲がるので、適時足で踏みまっすぐに戻す」ことを、隕鉄剣で行うのはかっこ悪いと思いますし。
あえて武器として登場させるとしたら、ひとまず「隕鉄で作られた武器が、鋭い斬れ味のみで敵を次々に斬り倒す」ような扱いさえしなければ、結構な説得力のあるアイテムとして利用できるはずです。
■流星刀と男のロマンが眠る場所
余談となりますが、長短各2振り合計4本が作られた流星刀のうち、長刀1本は皇室に献上されたことから東京都の靖国神社の資料館「遊就館」に、短刀2本は富山県の「富山市立天文台」に1本、榎本武揚の子孫、榎本隆充氏が北海道の龍宮神社に奉納した1本と、3本まではその行方が明らかになっています。
最後の長刀1本はいわば行方不明とも言えるのですが、信頼に足る記録として「流星刀の長刀1振りは榎本武揚の死後、その棺の中に納められた」というものがあります。隕鉄は風化に強いという特徴もあり、おそらく流星刀は今でもほぼ作られた時そのままの姿で、隕石の剣に憧れた榎本の傍らで静かに眠っているのでしょう。
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2024.10.02 20:00心霊皇室にも献上された! 隕石から創られた「流星刀」の持つ妖しい輝きと実用性とは?のページです。たけしな竜美、榎本武揚、流星刀、武器紹介シリーズなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで