悪魔と契約したカトリック団体が実在 ー バチカンを悩ませる「ヘラルズ・オブ・ゴスペル」の謎の儀式と暴走とは?

 伝統の復活をもくろむ信徒たちの一派が、教皇の死を願い、悪魔と手を結んでいた! バチカン発のスキャンダルを、海外メディア「THE DAILY BEAST」などが報じている。


■現代に受け継がれる悪魔祓い

 悪魔祓いエクソシズム)――中世世界、またはフィクションの世界を思い起こさせる概念が、バチカンでは今なお現実味を伴って通用している。

 前教皇ベネディクト16世は、若かりし頃にこの役目に従事していたと風聞が立ち、現教皇フランシスコについても、同様のうわさが流れたことがある。これらは全て大衆の興味が先走ってしまったもので、根も葉もないデマにすぎないといえる。

 もっとも、フランシスコは、悪魔祓いの存在と有効性に関しては、公式の声明を通じて肯定している。バチカンが推奨する悪魔祓いとは、医学的な治療と並行した、精神の疾患を癒すための穏当なものだ。

 ところが近年、公式に許しを受けた司祭たちが行うこれらの儀式とは別に、一部の信徒らのグループが独自の手法によって、危険な悪魔祓いに臨んでいるそうだ。その背景には、かつてバチカンの改革に強硬に反対した、ある有力者の姿が浮かび上がってくる。

悪魔と契約したカトリック団体が実在 ー バチカンを悩ませる「ヘラルズ・オブ・ゴスペル」の謎の儀式と暴走とは?の画像1 画像は「Wikimedia Commons」より


■カルト集団“ヘラルズ・オブ・ゴスペル”が誕生

 ブラジル出身のプラニオ・コリアデ・オリベイラ博士は、24歳の若さで政治家となり、その後は数々の運動団体の代表を務める、地元の名士である。

「この公会議は主イエス・キリストの死に並ぶほどに嘆かわしい、歴史の転換点となりましょう」(プラニオ・コリアデ・オリベイラ博士)

 1960年代、教会の近代化をめざした第2バチカン公会議の事前部会において抗議を表明した博士は、カトリックの伝統を重んじる保守派としても有名だった。

 やがて1995年に彼が世を去ると、彼が創設したカトリック系団体「伝統、家族、財産(TPF)」は分裂し、そのうちのひとつが前述の悪魔祓いに手を染めてゆく。

 新たに「ヘラルズ・オブ・ゴスペル」と名付けられた団体は、ブラジル人司祭、ヨハン・スコナミグリオ・クラ・ディアスに率いられ、歪んだ崇拝の機運を高めていった。

 博士の生涯を研究している社会学者によれば、同団体は、偶像としてのプラニオ博士、その母ルシア、そしてディアスが三位一体をなす、隠密裏なカルト集団に他ならないという。

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