青い目の人間は、たった1人の共通祖先を持っていることが判明! 遺伝子HERC2の突然変異がもたらした神秘
■お酒の強さで祖先がわかる?
さて、DNA上のたった一箇所の遺伝子変異が、見た目や体質に大きな影響を与えているケースは他にも多数ある。日本で有名なのは、2型アセドアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の例だろう。
ALDH2は体内でアルコール代謝に関わっており、ほんの少しの遺伝子上の違いがアルコールに強いか弱いかを決めている。アルコールは肝臓で有毒なアセトアルデヒドに変化し、さらに分解されて無害な酢酸に変わる。ALDH2に遺伝子変異が起こっていると、アセトアルデヒドの分解に時間がかかる。ほんの少しお酒を飲んだだけで赤くなり、頭痛や吐き気などを催すのは、体内に生じたアセトアルデヒドの毒性によるものだ。
お酒の飲めない、俗に言う下戸タイプの遺伝子変異を持つのは、日本人を含むアジア系の人種のみといわれており、白人や黒人はほぼ全員がアルコールに強い酒豪の遺伝子を持つ。逆に酒に弱くなる遺伝子変異は日本を含む東アジア地域で見られ、おそらくは2~3万年ほど前に中国南部地域で生じたのではないかと推測されている。
酒の弱さは日本人の民族的特徴ともいわれている。遺伝子は両親から一つずつ伝えられるが、酒に弱い遺伝子を少なくとも一つ持つ日本人は全体のおよそ40%とされる。そして、日本人のおよそ5%は“下戸タイプ”の遺伝子しか持たないとされる。なお、そのような「真の下戸」は飲酒を楽しむことができない。酒で気持ち良くなるより先に、眠気や頭痛、吐き気などに襲われてしまうからだ。
青い目や酒を受け付けない体質だけでなく、耳垢の乾湿や髪の毛の太さなども、たった一箇所の遺伝子変異がもたらした変化である。最近では遺伝子変異の地域的な分布や系統樹を追うと、その発祥の時代や場所がわかるようになってきた。体質や見た目から自分の祖先をたどり、その歩みを想像するのもまた一興である。
参考:「Independent」、「Business Insider」、「Science Daily」、ほか
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