サプール/撮影:酒井透
パパ・ウェンバとステラヴォス・ニャルコスは、同世代で同じ時代を生きているが、年齢差は3歳ほどある。1952年に生まれたステラヴォス・ニャルコスの方が年下になる。しかし、大臣だった父の影響で、彼の方がパパ・ウェンバよりも先に“目覚め” ている。パパ・ウェンバにブランドものの洋服の着こなし方や“サプールとしてのありよう”などを教えたのもステラヴォス・ニャルコスだった。
サプール
1986年、筆者が滞在していたキンシャサでステラヴォス・ニャルコスの立ち位置を聞くと、「サプールとしては、パパ・ウェンバよりもはるかに、はるかに格上さ!」という意見が十割を占めていた。この言葉は、彼の存在を裏づけるものとなる。
サプール/撮影:酒井透
ステラヴォス・ニャルコスは、1995年にパリ郊外にある病院で死亡した。病名については、「エイズによる感染症」とされているが、ハッキリしないところもある。現在、彼の墓は、キンシャサにあり、毎年2月の命日になると、数多くのサプールがここを訪れて彼の死を悼む。
サプール/撮影:酒井透
今、キンシャサにいるサプールたちは、ステラヴォス・ニャルコスのフォロワーと考えることができる。音楽の中にブランドものの洋服を持ち込んだのは、パパ・ウェンバだった。このことがあったからこそ、サプールという文化が再生していくことになったが、そのあり方をさらに深化させて、揺るぎないカルチャーとしたのは、ステラヴォス・ニャルコスだったのだ。
●酒井透(秘境・不思議スポット探検家/写真家 Twitter:@toru_sakai)
1985年からキンシャサに13カ月あまり滞在。ザイールのポピュラー・ミュージックである、ルンバ・ロック(リンガラ・ポップス)やサプールなどを取材した
●イベント告知
10月25日(水)、高円寺パンディット(@tetsuo_pundit)にて、
「今、話題のサプール。彼らのリアルな生き様を切り取る3時間!!」開催!
日本では、コンゴ共和国のサプールが知られているが、このトークショーでは、コンゴ民主共和国のそれについてスポットが当てられる。また、伝説のサプールであるステラヴォス・ニャルコスの正体に迫る。
【ご予約はコチラから→http://pundit.jp/events/3197/】
【出演】
奥村恵子(ミュージシャン・ライター。著書に『ビバ・ラ・ムジカ』がある)
名越啓介(写真家。著書に『Familia 保見団地』などがある)
【企画主宰、進行】
酒井透(秘境・不思議スポット探検家/写真家。著書に『中国B級スポットおもしろ大全』、『未来世紀 軍艦島』などがある)
【ゲスト】
長谷川精一
【場所】
高円寺パンディット(@tetsuo_pundit)
【時間】
開場時間19:00
開演時間19:30
【料金】
前売り¥1500(飲食代別)
当日¥1800(飲食代別)
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