「日本一成功の法則を知る男」萩本欽一の“偶然を呼び込む方法”とは? 業界屈指の“欽ちゃん信者”キック×ラリー遠田が徹底解説

ラリー:キックさん自身は萩本さんに会ったことはあるんですか?

キック:一度だけありますね。萩本さんが『24時間テレビ』のマラソンランナーを務めたときに、密着レポートをやらせてもらっていたんです。周りが引くぐらいでっかい声であいさつをしたら、「いいねえ」と褒められました。

ラリー:映画の中でもあいさつの話が出てきましたよね。駆け出しの頃の萩本さんが、あまりに何もできなくて演出家の人にクビを言い渡されたんだけど、師匠が擁護してくれて助かった。そのときに言われたのが「あんなに気持ちのいい返事をする子はいない」って。萩本さんはレストランで働いていたことがあって、声だけは大きかったんですよね。

 

キック:いい発声で大きい声を出す、っていうのはそれだけで魔除けになるんです。大きな声、よく通る声っていうのは、いいコメディアンの条件ですよね。

ラリー:あと、この映画を見ると、監督の土屋さんが、かつて制作していた『電波少年』でやっていたような番組の作り方がちょっとだけ覗けたような気がするんです。とにかくずーっとカメラを回し続けて、人の感情が出てくる瞬間を切り取っていく、という。

キック:あれだけの大物に向き合って密着して取材・撮影を続けて、それを映画として完成させているわけですから、相当すごいことですよね。土屋さんもまさに偶然を呼ぶための重要なパーツの1つだったんだと思います。

ラリー:『電波少年』でもそうだったんですけど、テレビに映り込むときの土屋さんって、いつもニヤニヤしているじゃないですか。あれも、作っている人が本当に楽しんでいるというのを見せることで、その雰囲気に視聴者を巻き込んでいるということなのかな、と。

 この映画って、全体のあらすじとしては、土屋さんが萩本さんを起用して視聴率30%を取ろうとしたけど取れなかった、という失敗の物語じゃないですか。でも、その失敗のストーリーそのものを今回、ドキュメンタリー映画にしたわけですよね。それ自体が、転んでもただでは起きない、最初に転んでもまた挑戦すればいい、という「欽ちゃん理論」の実践でもあるんですよね。

キック:そうですね。萩本さんも土屋さんもずっと戦い続けているんですよね。

映画『We Love Television?』公式サイト

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