撮影=酒井透
「(3人の首領の右にある壁に並んでいる)プロパガンダ絵画にペイントした作品は、東側と西側のアートを合体させたものと考えてもらえるといいと思います。東側の絵は、社会主義芸術というものです。つまり、プロパガンダ・キッチュアートです。西側の絵は、ジャクソン・ポロックなどアメリカの抽象表現主義を代表とするアバンギャルドアートです。両者を合体させたのがこの作品になります。近代の芸術理論なんか糞食らえといった趣で作っています。こういう作品があってもいいと思うのですよね」(生須芳英)
この作品は、12点ほど壁に掲げられていた。そのペイントの方法は、アメリカのあちこちで見られるようなスプレーペンキで描かれている落書きのようにも見える。これらの作品からは、生須さんが美術史家体質というよりも、”美術史マニア”でもあるという一面を感じることができた。