日本人が知らないイスラーム世界の実像・徹底解剖! コーランにはヴェールを被れとは書いていなかった!(東洋文化研究所・後藤絵美インタビュー)
パリやロンドンなど大都市で起こるテロやイスラム国など不穏なニュースで触れることの多いイスラム教(以下、イスラーム)。しかし、日本で普通に生活しているとムスリムの人たちと出会うこともなく、知識がないままイスラームを不安に思っていたりしないだろうか。
そんな思い込みを払拭するための子ども向けの本『イスラームのおしえ シリーズ1 イスラームってなに?』(かもがわ出版・監修:長沢栄治/著:後藤絵美)が出版された。今回は、東京大学東洋文化研究所の後藤絵美さんにイスラームをわかりやすく解説してもらった。
■イスラームの基本の“き”
まず本にならい、イスラームを簡単に整理しておこう。
・イスラームが人びとの間に広がりはじめたのは610年ごろのアラビア半島でのこと
・現在の世界の人口は73億人。そのうちムスリムの人口は約16億人
・ムスリムとは
「信仰告白」をしたことがある人
父親がムスリムの人
「神に身をゆだねよう」と努力する人
・ムハンマドは神でも、イスラームの創始者でもなく、最後の預言者である
このように基本的な知識がわかりやすく書いてある本なのだ。
――本書は子ども向けになっています。出版へのキッカケを教えてください。
後藤 この本は元々いろいろな大学で教えている授業がベースになっています。本にも載っているクイズがありますね。例えば「イスラームとはなにを意味する言葉?」「1 神様を拝むこと 2 神様に自分の身をゆだねること 3 神様のことを考えること」。
答えは2の神様に自分の身をゆだねることなんですが、正解率は大学生でも3分の1程度です。授業でクイズを出す意義を感じつつも、少し残念ですね。
――たしかに知らないことばかりです。日本では子どもへの宗教教育がほとんどないですしね。
後藤 「イスラーム」という言葉の意味を多くの日本人は聞いたことないですよね。もちろん「預言者ムハンマド」がどういう顔をしていたかも知らない。
イスラームを解説した新書や教科書はありますが、多くの人の手元には渡っていないということでしょう。ですから、子ども向けということで、より興味の持ちやすい入り口を意識しました。日本は子どもへの宗教教育に免疫がないので、現状では教育は難しいですが、大学より早い段階から知ってもらえればと絵本にしました。内容はあくまでも知識の提供であって、宣教と間違えられないように、なるべく幅広い視点からに書くように気をつけたんです。
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2024.10.02 20:00心霊日本人が知らないイスラーム世界の実像・徹底解剖! コーランにはヴェールを被れとは書いていなかった!(東洋文化研究所・後藤絵美インタビュー)のページです。イスラーム、後藤絵美などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで