ロシアの怪奇生物「ブロスノ・ドラゴン」がヤバい! モンゴル軍とナチス戦闘機を丸呑み、写真複数、科学者が「白みを帯びた巨大な肉塊」を目撃
■「ブロスノ・ドラゴン」の正体は何なのか?
この2002年の専門家による調査と謎の物体の目撃は、ブロスノ湖の未確認生物に関する新たな議論をロシア全土で巻き起こした。何よりブロスノ湖の“怪物”がネッシーなど、他の水棲型の未確認生物と比べて特異なのは、姿形がその時代や目撃者によってまちまちであり、外見上の特徴が一貫していないという点にある。そのため、最も有力な説として提起されているのが変異したビーバー、もしくは巨大なカワマスやイノシシ或いはヘラジカといった動物が湖中を泳いでいる姿を人間が見間違えたのではないかという説である。太古の恐竜の生き残りが湖の中で何世代にもわたって生息し続けているのではないかと見る向きもあるが、生物学者の多くは「湖水の水温は爬虫類が生息するには低すぎる」として、この説を否定している。
もうひとつの可能性として指摘されているのが、この湖独特の湖底から噴き出すガスが作り出す大きな泡を、竜のような巨大生物の頭と見誤ったとする説である。確かにブロスノ湖では湖底から硫化水素ガスが噴き出しており、これが時折湖面に巨大な泡を作り出すことが知られている。
こうした説は確かに遠方からの目撃例に関しては可能性が高いと言える。しかし先に取り上げた2002年の調査では、湖中に確かに正体不明の巨大な物体が浮かんでいることが確認されており、さらにその物体は直後に急上昇し、調査団一行の前に白みがかったその姿を見せている。これに関しては動物や自然現象との見間違いでは説明がつかない。
このように「ブロスノ・ドラゴン」の正体は、まだ推測の域を出ていない。だが少なくとも次のことは言える。すなわちこの怪物の存在が中世から伝承として語り継がれており、13世紀のモンゴル軍のロシア進軍や、第二次大戦中のナチスによる侵攻と密接にリンクする形で、そうした伝承が語られてきたことが示すように、古くから近隣諸国と絶えることのない武力闘争を繰り返してきたロシアの戦乱の歴史が、この怪物を生み出した下地として存在しているということである。そこには外敵からの侵略と常に対峙し、それとの闘争の中で育まれた自国の壮大な文化と波乱の歴史に対するロシア人の強い「愛国意識」が反映されているのである。
数多ある外敵に毅然と対峙し、「誇りある大国」として自国の広大な国土を保全してくれる力強い存在をロシア人は常に求めている。そうしたロシア人の意識がブロスノ湖という神秘的な湖に潜む怪物「ブロスノ・ドラゴン」に凝縮されているのかもしれない。「ブロスノ・ドラゴン」はこれからも人々の前にその姿を現し続けることだろう。ロシアの国土を護る勇ましい存在として。
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