被差別部落民、在日朝鮮人、貧困層が犠牲者に…! 鬼才・原一男が新作映画『ニッポン国VS泉南石綿村』を語る
■自分の「原点」を思い起こさせる作品に
――この作品で原監督がもっとも伝えたかったことは何でしょうか?
原監督 ずっとわからなかったんです。でも、編集で2年かけ少しずつ整理していくと、自分がこだわってきたものが少しずつわかってきました。
この映画には、日本の社会における最下層の人々が出てきますね。泉南地域や淡路島、隠岐島などにいる貧しい人や在日朝鮮人、被差別部落の方々です。高度経済成長期、そういった人たちが働ける数少ない仕事として、石綿の現場はありました。貧しかったからこそ、彼らは吸い込まれるようにそういうところで働くしかなかった。そして、石綿を吸った。そして、いまでも治らない疾患を抱えています。つまり、経済の発展のために、いわゆる「棄民」が犠牲になったということです。もしかしたら、そうした方々に、「自分の原点」を見ていたのかもしれせん。
私は、山口県宇部の炭鉱町の出身で、斜陽になった故郷を離れ、東京に出てきた。周りには貧しい人たちもいました。そういった自らの出生や境遇を、この映画の登場人物たちに投影しているのかもしれません。今作は、旅立ったつもりになっていた自分の故郷、いわば自分の出発点をもう一度、思い返すようなものになりました。
【プロフィール】
◆原一男監督
1945年、山口県宇部市生まれ。東京綜合写真専門学校中退後、養護学校の介助職員を勤めながら障害児の世界にのめり込み、写真展「ばかにすンな」を開催。1972年、小林佐智子と共に疾走プロダクションを設立。同年、『さようならCP』で監督デビュー。1974年、原を捨てて沖縄に移住した元妻、武田美由紀の自力出産を記録した『極私的エロス・恋歌1974』を発表。1987年には元日本兵の奥崎謙三が上官の戦争責任を過激に追究する『ゆきゆきて、神軍』が大ヒット。1994年、井上光晴の虚実に迫る『全身小説家』を発表。2005年、ひとりの人生を4人の女優が演じる初の劇映画『またの日の知華』を発表。映画を学ぶ自らの私塾「CINEMA塾」を不定期に開催している。
【劇場公開情報】
原一男監督作品『ニッポン国VS泉南石綿村』
監督:原一男
製作:小林佐智子
構成:小林佐智子 編集:秦 岳志 整音:小川 武
音楽:柳下 美恵 制作:島野千尋
イラストレーション:南奈央子
助成:大阪芸術大学 芸術研究所 JSPS科研費
製作・配給:疾走プロダクション
配給協力:太秦 宣伝協力:スリーピン
渋谷/ユーロスペース 絶賛公開中
横浜/シネマ・ジャック&ベティ 絶賛公開中
大阪/第七藝術劇場 3月31日より公開
大阪/シネ・ヌーヴォ 3月31日より公開
他全国順次公開
公式HP
http://docudocu.jp/ishiwata
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2024.10.02 20:00心霊被差別部落民、在日朝鮮人、貧困層が犠牲者に…! 鬼才・原一男が新作映画『ニッポン国VS泉南石綿村』を語るのページです。ドキュメンタリー、アスベスト、原一男、石綿などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで