母親がダイナマイト心中自殺…残された息子の壮絶人生とは!? 末井昭インタビュー「どんな修羅場もなんとかなる」
――映画のなかでお父さんが亡くなるシーンもありました。
末井「親父は死ぬ間際は、『NHKのど自慢』が岡山に来るというんで予選合格して、浪曲子守唄を歌うことになってたんだよね。風呂のなかで『逃げたー女房にゃ』って練習してたら、二番になったら声が聞こえなくなったって。長屋の隣りに住んでたおばさんの証言によれば、そのときに亡くなったんじゃないかって」
――お風呂で歌の練習をしている途中で亡くなられたんですね。クリスマスツリー爆弾というのは何でしょうか?
末井「うちの義理の弟、つまり前の奥さんの弟さんが、クリスマスツリーに爆弾を仕掛けて逮捕されて、刑務所生活23年。それでも今は出版社の社長をやったりしてますけど」
――その事件もダイナマイト自殺と繋がっているんですか?
末井「繋がっていないけど、爆発ということでは繋がっているかな(笑)」
『素敵なダイナマイトスキャンダル』という映画は、人生に悩んでいる人たちにすごく響く映画だと思うんですけど、そういう方々にメッセージをお願いします。
「悩んでいる人がこの映画で救われるかどうかはわかりませんけど、モヤモヤしているものはすっきりするでしょう。今の時代って、息苦しい感じありますから」
――確かにそうですね。
末井「ちょっと抽象的な表現なんだけど、自分がここにいて、目的地に行こうとしたときにひとつのルートしかないんですよ。たとえば、編集者になろうとしたら、まず大学を卒業するとか、大手の出版社に入るためにはルートがあるわけじゃない。いろんな意味で最短距離のルートがなく、遊びや隙間がないんだよね。そんな時代だからこそ、あの時代の緩さとか、いい加減さを映画を見ながら、体験してもらうといいんじゃないかな。今とは確かに違うけど、自分の気持ちのなかにそういうものを持てれば、楽になる部分もあるんじゃないかな」
――新刊『生きる』も悩んでいる人を励ましてくれそうですね。
末井「どんな修羅場もなんとなるっていうヒントにしてもらえれば」
――ありがとうございました!
【上映情報】
映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』
出演:柄本 佑 前田敦子 三浦透子 峯田和伸 松重 豊 村上 淳 尾野真千子 ほか
監督・脚本:冨永昌敬
原作:末井 昭「素敵なダイナマイトスキャンダル」ちくま文庫刊
音楽:菊地成孔 小田朋美
配給:東京テアトル
(C)2018「素敵なダイナマイト スキャンダル」製作委員会
2018年3月17日(土)より、東京・テアトル新宿、池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー。R15+指定。
【公式HP】
http://dynamitemovie.jp
【末井昭】
1948年、岡山県生まれ。高校卒業後、大阪の工場へ集団就職。その後、上京して自動車工場勤務、デザイン学校入学、ディスプレイ会社勤務、キャバレー勤務、フリーの看板描き、イラストレーターと職業を転々とした後、1975年、セルフ出版(のちに白夜書房と改称)の設立に参加。編集者として『ウィークエンドスーパー』(1977年)『写真時代』(1981年)『パチンコ必勝ガイド』(1988年)などを創刊。2012年に白夜書房を退社し、現在はエッセイスト、フリー編集者、サックス奏者として活動。2014年、『自殺』(朝日出版社)で第30回講談社エッセイ賞を受賞。主な著書に『素敵なダイナマイトスキャンダル』(ちくま文庫)『結婚』(平凡社)『末井昭のダイナマイト人生相談』(亜紀書房)など、新刊『生きる』(太田出版)絶賛発売中!
※末井昭&ケロッピー前田イベント情報
6月4日(月)スペシャルゲスト 末井昭 (Live&Talk)
ケロッピー前田&DJ TKD with 姫乃たま
19:30~@千駄木Bar Isshee
http://www.bloc.jp/barisshee/
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2024.10.02 20:00心霊母親がダイナマイト心中自殺…残された息子の壮絶人生とは!? 末井昭インタビュー「どんな修羅場もなんとかなる」のページです。自殺、ケロッピー前田、末井昭、白夜書房、素敵なダイナマイトスキャンダルなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで