AIが人間の“記憶の画像化”に成功、その完成度がヤバい! 犯罪者の顔も描写可能… もうウソはつけない!

■「EEG」による脳波測定で思い浮かべた顔を再現

 もちろん、脳活動の“解読”はほかにも各所で行なわれている。

 fMRIよりもさらに簡便に脳活動を計測できる機器に「EEG」と呼ばれる脳波計測機がある。頭にかぶって使用するこのEEGを用いて、カナダ・トロント大学の研究チームは当人が思い浮かべた“顔”を再現することに成功している。

 我々が人物の顔を思い出す時、デジカメ写真のような高精細でクリアな画像として再現しているのではなく、ある程度ぼんやりしていながらもその人物ならではの特徴がよく反映されたイメージを思い浮かべるだろう。研究チームは、この脳内のイメージをEEGで計測された脳波情報を“変換”することで再現したのだ。

AIが人間の記憶の画像化に成功、その完成度がヤバい! 犯罪者の顔も描写可能… もうウソはつけない!の画像2Express」の記事より

 EEGで計測された脳波情報から人物の顔を再現したのは、AIというよりも「変換ソフト」に近いもののようで、人間の顔に特化したことで“変換”の精度が高まっているようである。

 研究チームは今後、さらにこの技術を向上させていくことでさまざまな可能性が広がっていることを指摘している。実用面でまず考えられるのが、犯罪捜査への応用だ。

 犯人の目撃者によるビジュアル情報は、当人に絵心がない限りは客観的に伝えるのはなかなか難しいが、この技術を使えば、犯人の顔を思い浮かべてもらうだけで、これまでよりも簡単で、より正確な手配写真を作成できることになる。

 また、聴覚や発話に障がいがある人々のコミュニケーションを円滑に行なう技術にも応用が可能だ。まさに“テレパシー”による言語を介さない交流が現実のものとなるのだ。

 そしてなんといっても、今後さらに小型軽量・高性能化するEEGという機器を用いていることで、低コストで手軽に活用できることになるのは大きなアドバンテージである。このように各方面で急速に進む脳活動の“解読”作業と応用研究だけに、AIによる完全に近い“読心術”が実現する日もそう遠くはなさそうだ。

Do you see what I see? Harnessing brain waves can help reconstruct mental images 動画は「University of Toronto Scarborough」より


参考:「New Scientist」、「CNBC」、「Express」、「Futurism」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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