20年以上“人間マンダラ”を撮る写真家・宇佐美雅浩
【取材】20年以上“人間のマンダラ”を撮り続ける写真家・宇佐美雅浩!分断の地・キプロスを無限スケールの曼荼羅で表現!
■当事者との共同作業で作品を生み出すリレーショナルアート
宇佐美さんの作品を知るために、展示会場で最も重要な要素が、写真展であるにもかかわらずメイン写真の隣に配置された、ドローイングだ。この作品はメインの『マンダラ・イン・キプロス 2017』の当初の構想を描いたものだ。

スケッチ

メインイメージ
「ギリシャ系キプロス人とトルコ系キプロス人、の間にできたハーフの赤ちゃんを中心に、その本人の現状と未来を1枚の写真で表現しようとしました。その背景は、ボーダーを表すドラム缶で隔てられている。向かってドラム缶の左側にはギリシャ正教徒の指導者と多くのギリシャ系キプロス人。向かってドラム缶の右側にはイスラム教徒の指導者と多くのトルコ系キプロス人が集まり、平和を祈っている。そして、その他現地のマイナーな宗教の指導者たち、さらに、ロケ地は南北どちらの地域にも属さない国連の管理するバッファゾーン。さらに、国連の軍隊にも参加してもらうのが当初の構想でした」(宇佐美氏)
両者を比較すると判るのだが、実際に仕上がったメイン写真は構想と大幅に異なる。しかし、それこそが作品の核なのだと宇佐美さんは考えている。
「撮影地はバッファゾーンじゃないし、宗教関係者には入ってもらえなかった。ハーフの赤ちゃんもいない。人も少ない。現実とは全然違います。とはいえ、ゴールを設定してギリギリまでやる。現場に身を投じて全力で作った結果こうなった。実際にできあがった写真と想定したイメージの差にこそ、自分の作品制作の意義を感じているのです」(宇佐美氏)
作家の意図の現れである想定イメージと、実際に仕上がった作品の差にこそ意義があるとは、どういうことなのか?
「今はPhotoshopとかでなんでも作ることができます。合成写真だってできますよ。でも、そんなことしても面白くないし意味がない。私は現場に行ってそこの人たちと一緒に作り上げることに一番の重点を置いている。現代美術でいう『リレーショナルアート』。そこが、私が写真を撮っていることの一番の意味なんですよ」(宇佐美氏)
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