【取材】20年以上“人間のマンダラ”を撮り続ける写真家・宇佐美雅浩!分断の地・キプロスを無限スケールの曼荼羅で表現!

■宇佐美作品はなぜ強いのか

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タイトル:パギョティス・マンセウ神父 南側、メランドラ 2017。背景にはギリシャ正教の教会があり、後方では信者たちがテーブルを囲み食事をしている。手前では伝統的なパンの製造プロセスを再現している。


 宇佐美さんの写真は強い。その理由はいくつかある。

 1つはマンダラのフォーマットが持つ普遍的な強さ。

 個人を中心に、その人に関わる事物を配置し1枚の写真に収めるマンダラは「個人を取り巻く世界の物語」を視覚化したものだ。そしてその「世界」は、個人の手の届く狭い範囲から広大な宇宙空間まで、無限の拡張性を持つ。友人知人の部屋という私的な世界からキプロスへと『Manda-la』が広がりを見せたのはここに理由がある。

 また、マンダラのコンセプトは極めてシンプルなため、国境や文化圏を超えてあらゆる事象に適用可能だ。たとえば、引きこもった若者の生活も国家間の戦争も「人を中心とした世界の物語」というフレームに収めることができ、観るものにとっても理解しやすい。

 この普遍性の高さに「写真」というメディウムそのものの強みが加わる。写真にはそこにあるものしか写らない。それゆえ、目の前の現実をそのまま写し出す際の説得力は、絵画やCGの比ではない。

 そして、作り手の発想を作品に落とし込むために必要不可欠な技術と高い熱量を、宇佐美さんは持っている。

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