【取材】20年以上“人間のマンダラ”を撮り続ける写真家・宇佐美雅浩!分断の地・キプロスを無限スケールの曼荼羅で表現!

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タイトル:サム・デルフィーノ 北側、ニコシア 2017。サム・デルフィーノさんは、「オモニア」というキプロスのサッカーチームの熱狂的サポーターであり、ボーダーに隣接するバーの経営者。中心にカウンターを配して彼の店を表現。警備員たちがサポーターの熱狂を制止している。キプロスで、サッカーは最も人気のあるスポーツ。その成り立ちや支持者から、伝統的には政治的に左寄りと言われるオモニアに対し、同じく首都ニコシアにはアポエルという右寄りのチームもあり、共にライバル視している。


 一般市民の協力を得ることも難しかった。分断から40年以上にわたる確執の歴史は至る所に影を落としている。老いた世代は、かつて同郷の仲間であったという記憶の一方で、分断時に受けた仕打ちを体で覚えているし、若い世代にはその後の歴史教育で刷り込まれたお互いに対する不信感がある。政治的な意味合いの強い宇佐美さんのプロジェクトへの協力に及び腰になるのも無理はない。

 やっと見つけた現地人スタッフも、南北のボーダーを行き来することに躊躇した。

「制作予定期間の最終日から2週間前の段階で、北の地域で撮影するイメージが残っているのに、北側のスタッフがいなくなって、南側のスタッフも北には行かないって言い出したんですよ。何かあったら怖いって。残ったのは私と、南側のキプロス在住の日本人の通訳の2人。その時は「今年は無理。借金してもいいから北側のプロモーターを雇って来年やろうか?」と悩みました」(宇佐美氏)

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