【再編集・2025年版】アメリカ政府が隠蔽する「メルの穴」の正体とは? ― 深さ24km、死体蘇生とUFO目撃が語られた“禁断の底なし穴”

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 投げ込んだ死体が蘇り、上空にはUFOが出現――。ワシントン州の荒野に存在すると語られる 「メルの穴(Mel’s Hole)」は、1997年のラジオ番組をきっかけに世界中の好奇心をさらった都市伝説だ。 本稿では伝説の全体像と主要証言、提示されている反証を整理し、 「実在の可能性」と現代ネット文化における意義をあらためて検証する。

 

日本の類型:「杉沢村伝説」との共通点

 杉沢村伝説をご存知だろうか。青森県の山中に存在し、かつて村人全員が惨殺されるという陰惨な事件の末に地図からも消されたが、 現在もその廃墟には村人の亡霊がさまよっている……という噂話だ。2000年代にテレビなどで報じられて大きな反響を呼んだ都市伝説の一つであるが、 さまざまな検証の結果、杉沢村なる場所は実在しないとされている。それでもこのロマンあふれる伝説は、今なお多くの人々に愛され続けている。

 実は、杉沢村伝説に似たような噂話がアメリカにも存在する。ひとりの男がラジオで語ったことをきっかけに広がり、 Wikipediaにも項目が立つに至った、 「メルの穴」と呼ばれる奇妙な“底なし穴”の物語である。

メルの穴とは何か ― きっかけはラジオ番組

 伝説の始まりは1997年2月21日に放送された深夜ラジオ番組 Coast to Coast AM。ゲストのメル・ウォーターズ(Mel Waters)氏が、 ワシントン州エレンズバーグ郊外にある不可思議な“底なし穴”について語った。

 彼の証言によれば、その穴は地元では「悪魔の穴」と呼ばれ古くから知られていた。 直径は2〜3メートルほど。何かを投げ込んでも底に当たる音が返ってこない。 1メートルほどの石積みの壁で囲まれ、浅い部分はレンガで補強されていた。先住民はこの場所を忌避し、動物も近寄らなかったという。

メル・ウォーターズ氏が出演したラジオ番組『Coast to Coast AM』の紹介画像
ウォーターズ氏が出演したラジオ番組。画像は Coast to Coast AM公式サイトより引用

語られた怪異:底なしの深さ、反響しない音、蘇る犬

 ウォーターズ氏は1996年、穴の深さを確かめるべく釣り糸に重りをつけて下ろしたところ、 8万フィート(約24km)に達しても底に届かなかったと主張する。 穴の内部に向かって叫んでも反響が起きない、近くのラジオから古い音楽やノイズが流れる、 飼い犬が強い拒絶反応を示す――といった奇妙な現象も語られた。

 さらにラジオ番組では、地元の男性が穴に投げ込んだ犬の死体が蘇って戻ってきたという逸話も披露された。 その犬は特徴的な首輪をしており、本人は「間違いなくあの犬だ」と述べている。

政府関与の疑惑と立ち入り規制の証言

 初回放送後、ウォーターズ氏が再び現地で実験を試みたところ、 政府関係者から「飛行機が墜落したので立ち入るな」と警告されたという。 以後、土地への立ち入りは制限され、許可も得られなかった。 最終的に彼は土地を政府に貸し、その資金でオーストラリアへ移住したと語っている。

 帰国の途上で身柄を拘束され、気づけばサンフランシスコで歯が1本抜け、腕に注射痕が残っていた―― といった記憶の欠落も証言。さらに地図サービスTerraServer上で該当地域が 不可解に消されていたと主張した。

場所を求める人々と「レッド・エルク」の証言

 一躍有名になったメルの穴をめぐり、多くの探索者が正確な位置を求めて現地を訪れた。 なかでも知られるのが、ジェラルド・R・オズボーン(通称レッド・エルク)。 彼は1961年頃から複数回その場所に赴いたとし、UFO目撃政府の極秘施設化を主張したが、2002年には発見に失敗している。

メルの穴は実在するか ― 科学・記録からの反証

 反証も多い。まず24kmの釣り糸は、どんな素材でも相当な重量となり、地上からの保持は現実的でない。 地下24kmの温度はおよそ700℃超と見積もられ、糸の耐熱性にも無理がある。 地質学者ジャック・パウエル氏によれば、物理・地質学の観点から その深さの穴は自壊するため安定して存在し得ないという。 実際に人類が到達した最深掘削はコラ超深度掘削坑で約12km〜14kmとされる。

メルの穴を批判的に検討した地質学者ジャック・パウエル氏の写真
ャック・パウエル氏。画像は Daily Recordより引用

 さらにメル・ウォーターズ本人の記録が地域の公的データベースに見当たらず、 土地所有の証跡も確認できないという調査報告がある。政府の情報改ざんを疑う声もあるが、 少なくとも「メル・ウォーターズ」という名が偽名の可能性は高い。

現代オカルト文化における意味と私たちの好奇心

 メルの穴と杉沢村に共通するのは、インターネットが噂を拡散し、検証と反証が重なり続ける構図だ。 実在は疑わしくとも、熱心な探索者や語り手が現れ、物語はアップデートされ続ける。 Google EarthでUFOの痕跡や“基地”を探す人、地図から消えた村や穴を追う人―― どれも現代らしいオカルトの楽しみ方と言える。

メルの穴Q&A(よくある疑問)

Q. 「メルの穴」は本当にあるの?
A. 位置の特定に成功した確実な報告はありません。物理・地質学的にも成立しにくいとされます。
Q. 24kmの深さはあり得る?
A. 既往の最深掘削(コラ超深度)でも約12〜14km。圧力・熱・地層安定性の面から極めて非現実的です。
Q. なぜ今も話題になるの?
A. ラジオ発の物語性、政府陰謀/UFO/蘇生といった強いモチーフ、ネット文化による再燃が原因です。

参考・出典

WikipediaMysterious UniverseDaily Record

※本記事は2018年公開記事を2025年版として再編集しています。

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