“100発100中の予知能力者”が広島に存在、おでこに「画面が開く」女とは!? 川奈まり子の情ノ奇譚『予知』
鶴田真澄さんは広島県に住む30代のスーパーマーケット店員だ。派手なところのない控えめな印象の女性で、低めの声が耳に心地よく、インタビューに応える口調は穏やかだった。近視で、眼鏡をかけている。
彼女は生まれてこの方、市井の人として静かに暮らしてきた。お話をうかがって、むしろ、なるべく目立たないように努めてきたのではないかと感じた。
と、言うのも、鶴田さんには予知能力があり、その精度は、これまでのところ百発百中。一度も外したことがないそうなので。
もしも世間に見出されてしまったら、どうなるか?
話題になり、時の人になるかもしれない。しかし必ずや彼女の能力に疑問を持つ人々が現れ、能力を実証するように迫られるだろう。そしてたとえ証明してみせたところで、何度でも物言いがつくに違いない――なぜならば常識は、容易には覆らないから常識たり得ているものだから。
鶴田さんは語る。
「初めにこの能力に気がついたのは、高校2年生のときでした。近々、家庭科の調理実習をすることになっていて、まだ何を作るか知らされていないのに、突然、おでこに横長のスクリーンが開くような感じがして、ミートソースのスパゲッティのイメージが見えたのです。その後、家庭科の先生から調理実習のメニューがミートソースのスパゲッティだと知らされました。
ごく些細な出来事で、このときは私の勘は凄いなと思った程度でしたが、それ以降、いろんなことを予見するようになって、だんだん、これは普通ではない能力なのだと気づかざるを得なくなっていきました」
調理実習の一件のあと、学校の社会科見学で同学年の生徒全員で列をなして校舎付近の山道を歩いていたとき、また額に画面が開くイメージが浮かんだ。
そしてその画面に、ある生徒が頭に怪我を負って流血するようすが映し出された。
溢れる鮮血と無惨な傷口の映像を見て鶴田さんは衝撃を受け、咄嗟に「頭に大怪我をする子がいる!」と叫んだ。周囲は彼女に取り合わなかった。彼女も「なんとなくそんな気がした」と言ってごまかした。
しかしそれから数十分後、彼女から離れた場所を歩いていた生徒が一人、木の枝が側頭部に突き刺さって怪我をした。前を行く者が服に引っ掛けるか何かして、弓のようにしなわせた木の枝が飛んできたのだ。頭の傷口から大量に出血する様を見て、彼女自身、既視感にとらわれたし、また、彼女の言葉を耳にしていた二、三人の生徒たちは驚愕した。
「でも、私はあまり注目を集めたくありませんでした。だから、こんどから気をつけようと思ったんですけど、その後も、たまに口走ってしまうことがあって……。
あるときは、友だちが家に遊びに来ていて、夕方近くなって空腹になり、ラーメンを食べに行こうと誘われたんですけど、その途端に、同居していた祖母が私と友だちのためにマクドナルドのハンバーガーとポテトのセットを買って紙袋に入れてもらうようすが見えたんです。だから、つい、お祖母ちゃんがマック・セットを買ってくるから待っていようよと言ってしまいました。
すると、それからすぐに祖母がマック・セットの入った紙袋を手に提げて帰宅したので、友だちにびっくりされてしまいました。
力があることを完璧に隠すのは難しいんですよ。そういう変わった力があっても普通に接してくれる人ばかりならいいんですけどね……。
ふだんは、見えても、誰にも何も言いません。言う必要もないし。
私の予知や予言は、他の人にとってはどうでもいいようなプライベートな小さな出来事に関するものが大半ですから。
しかも、自分でコントロールできません。予知したいと思ったときに出来るわけではなく、不意打ちで急におでこに画面が開くのです」
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊“100発100中の予知能力者”が広島に存在、おでこに「画面が開く」女とは!? 川奈まり子の情ノ奇譚『予知』のページです。予知、怪談、実話怪談、川奈まり子、情ノ奇譚などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで