人身御供になった僧侶を祀る「すべりどめ人柱供養堂」に潜入! 本物の人骨も展示、「夜は空気が変わる…」

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 新潟県上越市板倉区猿供養寺というところに『すべりどめ人柱供養堂』という小さなお堂が建っている。外見だけ見れば普通の神社のようにも見えるが、建物の中にはガラスケースに納められた人骨が祀られている。

 猿供養寺に伝わる伝説によると、その昔からこの地は山崩れや地すべりが多発しており、多くの人たちが犠牲になってきたという。今から800年ほど前の鎌倉時代のこと、地すべりを止めるため、旅の僧が自ら志願して人柱になった。地元で長年暮らしている男性に話を聞いた。

「人骨が出土したのは、昭和12年のことです。畑仕事をしているときに見つかりました。そのとき村人たちは、『伝説の僧侶の骨が出土した!』ということで大騒ぎになったそうです。ある大学が鑑定をしているのですが、大腿骨が太いことなどから旅僧のものだという結果が出ています。これは伝説とまったく一致することです。『人柱供養堂』には、そのときに出土した瓶も祀られています」

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 人骨に関する鑑定が行われたのは、昭和36年のことになる。新潟大学が調べたところ、鎌倉時代末期の40代くらいの男性のものであることが分かった。この人骨は、小柄であるにも関わらず、脚の骨が太く、腕の骨は細かった。農民ならば、腕の骨が太いと考えられることから、農作業には携わらずに、諸国を行脚していた旅の僧のものであろうと推定されている。

 現在、『人柱供養堂』には、人骨とともに出土された瓶も展示されている。もちろん現物だ。昼間は、手を合わせに来る人たちが絶えないので、蝋燭の光で明るく照らされている。

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 そして、この建物の隣には、日本で初めてとなる本格的な地すべり資料館がある。そこには、旅の僧が人柱になるときの模様を再現したジオラマなどが展示されている。また、映像メディアや模型などがあり、地すべりのメカニズムや歴史などを学ぶことができる。地域では、毎年7月になると旅僧の供養を行っている。

『人柱供養堂』は、24時間開いているので、誰でも好きな時間に行くことが可能だ。しかし、暗くなってから行くことは避けた方がいいかも知れない。先の男性に話を聞いた後も写真を撮っていると、『人柱供養堂』の空気が一変したのを感じた。真夏だというのにどこからともなく冷たい空気が流れてきたのだ。写真を撮っているときに話しかけてきたお婆さんの言葉が気になった。

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「冷たい空気が流れてきたら早めに帰った方がいいよ。ちょっと雰囲気変わるからね。また明るいときに来なさったらいい。この辺の人たちは寝るのも早いからね。無理はしないでね」
 
 暗くなってくるとともに、堂内に掲げられている旅の僧を描いた絵が目につくようになってきたのも気になっていた。いつまでも供養堂にいると何が起こるか分からないので、すぐにその場を立ち去ることにした。とりあえず、この日は、『人柱供養堂』を離れて宿に向かうことにした。


地すべり資料館

閉館時間:午前9時30分から午後4時30分まで
閉館日:毎週火曜日、年末年始(12月29日から1月3日まで)

〒944-0125 
新潟県上越市板倉区猿供養寺402-1
電話:0255-78-2687

文・写真=酒井透

●酒井透(さかい・とおる)
写真週刊誌「FOCUS」(新潮社/休刊中)編集部カメラマンを経て、現在、秘境・不思議スポット探検家/写真家として活動中。「FOCUS」時代には、逮捕直後の宮崎勤をスクープする。国内はもとより、これまでに50カ国あまりで取材活動を行っている。著書に『中国B級スポットおもしろ大全』(新潮社)、『未来世紀 軍艦島』(ミリオン出版)などがある。最新刊は、『軍艦島 池島 長崎世界遺産の旅』(筑摩書房/共著)。

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