宇宙を瞬間移動できる「ワームホール」が研究室で作成される! トンネルをくぐると自然界に存在しない物質に変化し…!
ワームホールとは、宇宙の2つの地点を結ぶ宇宙的なトンネルのことである。その奇妙な性質から多くのSF作品で扱われてきたこともあり、物理学を専門的に勉強していない人の間でも知られる言葉になった。とはいえ、ワームホールの存在は実証されておらず、科学的概念の域を出ていない。ましてや、人工的に重力的なワームホールを作り出すことは到底不可能だ。なぜなら、そのためには膨大な重力エネルギーが必要となり、そんなものを人類はコントロールすることができないからである。しかし、電磁気学的なワームホールはその限りではない。
科学ニュース「Science Daily」(2015年9月3日付)によると、スペイン・バルセロナ自治大学の科学者らは、空間の2つの地点を電磁気的に繋ぐ人工的なワームホールの製作に成功したという。これは、磁場を一方の点から他方の点に転送するトンネルのようなものである。
このワームホールは人工物質である「メタマテリアル」と人工的な反射特性を持つ「メタサーフェス」を使った、複数の異なる層を持つ球体として作られている。外層は強磁性、内層は超電導物質、そして両端にかけては円筒状に強磁性のシートが巻いてある。こうした構造は内部を電磁気的に不可視にするためだという。
これを使い実験を行ったところ、一方の点にあった電磁場が他方の点に“検出不可能”な状態(=目に見えない状態)で移動したそうだ。しかもこの時、現れた電磁場はN極かS極しか持たないモノポール(単極子)という自然界には存在しないものだった。そのこと自体も不思議であるが、いずれにしろ磁場は移動中に検出不可能だったことから、あるポイントから別のポイントに非三次元的に移動したことが証明された。
研究リーダーのアルヴァル・サンチェス氏は、「電磁気的ワームホールは重力的なワームホールのアナロジーであり、空間のトポロジーを変化させる」と語っている。実は2014年にも同様の実験が行われていたが、その時は移動する磁場が検知可能な状態であり、ワームホールとは言えない代物だった。
この発見が即座に宇宙論に適用されるというわけではないが、我々の日常生活に応用することはできるという。たとえば、MRIの装置を患者から遠ざけることで、患者の不快感を和らげることや、異なる身体部位のMRI画像を同時に取得することが可能になるとのことだ。
いずれにしろ、ワームホールが実験室で作れるなんて夢のような話だ。今後の研究発展に期待したい。
参考:「Science Daily」、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊宇宙を瞬間移動できる「ワームホール」が研究室で作成される! トンネルをくぐると自然界に存在しない物質に変化し…!のページです。物理学、スペイン、ワームホール、モノポール、電磁気学などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで