「人型のコーヒーの染みです」、報告されない“孤独死住宅”の闇を不動産執行人が暴露! 事故物件よりもウツになる「暗黒物件」シリーズ

「どうしても立ち会いたくないんで、玄関の鍵開けておきますから勝手に入って勝手に終わらせちゃってください」

 債務者や債務者家族からこう切り出されるケースも少なくない。

 通勤に便利とまでは言い難いが最寄り駅からは徒歩15分圏内、古い住宅街の袋小路に位置するカビと苔の目立つ2階建てが今回の当該物件。

「人型のコーヒーの染みです」、報告されない孤独死住宅の闇を不動産執行人が暴露! 事故物件よりもウツになる「暗黒物件」シリーズの画像2画像は「Getty Images」より引用

 仰せの通りに無施錠のドアを開ける。

 奥の方で何かが腐敗している冷蔵庫を開けてしまったような、数日間冷蔵庫にしまうのを忘れていた肉料理のタッパーを開けてしまったような、不思議な腐敗臭が薄っすらと漂う。

「これ、人っぽいですね。でも死体は無いと思いますよ。死体あったらこんなもんじゃないんで。でも一応注意しながら行きましょう」

 真っ先にこの臭いに言及したのは鍵師さんだった。

 鍵師さんは職業柄、室内に立ち籠める臭いをトップバッターで吸い込むことになるため、嗅ぎ分けのスキルがズバ抜けている。

 ちなみに動物の死臭と人間の死臭は全く違うのだという。

 玄関を上がり、まっすぐ廊下を進んだ最初の和室を開けると、臭いの元凶がこの部屋であることがわかった。

 極度に日当たりの悪い家であったため室内が視認できず、手探りでシャッターを開けてみることに。

 徐々に広がる外光が我々に見せたものは、足元にある人間の胴体と酷似する形に腐った畳だった――。

「これは孤独死でしょうね。しかも結構時間が経過してるタイプの」
「布団剥がすと大体この形に抜けるね」

 口々に執行人たちが孤独死の可能性を語る。

 確かにこの畳が腐っている場所に布団が敷いてあったと仮定すると、手の届く範囲の襖だけが激しく破けている状況にも合点がいく。

 死の淵にもがいた際、これらが破けたという推測だ。

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