在日シリア人ジャーナリストに直撃! メディアが報じない「プーチン支配のシリアの現状」暴露、 第三次世界大戦も…(インタビュー)

在日シリア人ジャーナリストに直撃! メディアが報じない「プーチン支配のシリアの現状」暴露、 第三次世界大戦も…(インタビュー)の画像3イメージ画像:「gettyimages」より

■シリアの今後と第三次世界大戦は!?

――このシリア問題に端を発して、ロシア対アメリカの第三次世界大戦に至る可能性はありますか?

在日シリア人ジャーナリストに直撃! メディアが報じない「プーチン支配のシリアの現状」暴露、 第三次世界大戦も…(インタビュー)の画像4ナジーブ・エルカシュ氏

ナジーブ  先程申し上げました通り、トランプ政権はシリアにあまり関心がなく、現地でのパワーバランスはロシアが圧倒的に上ですから、戦争にはならないと思います。シリアに駐屯するイラン革命防衛隊とイスラエルの間では小競り合いがあるでしょうが、全面的な戦争にはならないでしょうね(※)。

※ 12月19日、米トランプ大統領はツイッターでシリアから米軍を撤退させる意向を表明しており、ナジーブ氏の指摘が現実になりつつある。

――イスラエルといえば、トランプ大統領がイスラムの聖地でもあるエルサレムをイスラエルの首都と認めたことも含め、中東情勢が緊迫化していますよね。「アラブ世界のために」とアサド政権がイスラエルとの戦争に乗り出す可能性もあると思いますか?

ナジーブ  アサド政権とイスラエルは、実は裏で繋がっていると思いますよ。アサド政権は隣国レバノンを爆撃しても、イスラエルと国境が接するゴラン高原には決して触れません。シリアには「アサドはレバノンではライオン、ゴランではウサギ」ということわざがあるほど、アサドは状況に応じて態度が違うのです。

――なるほど、奥深いですね……。シリアは今後、民主化して復興できるのでしょうか?

ナジーブ  そう願いたいのですが、復興資金の用途に透明性がないので現状のままでは難しいですね。国際社会がシリアの復興を手助けしようとも、アサド政権の態度が変わらないので、ほとんどの復興資金は一般市民ではなく政権支持の支配層に流れてしまうんです。

――復興資金が目的通りに使われず、アサド政権の強化につながっているのですね……!? 日本では、正しい情報が“あまりにも少ない”ということがよくわかりました。では、中東情勢をリアルに知るために、ナジーブさんが推薦される情報源はありますか?

ナジーブ  日本のメディアでは、正しい情報は確かに少ないですね。でも、NPO法人のSSJ(Stand with Syria Japan)や、シリアに23年お住まいの考古学者、山崎弥生さんなどは正しい情報を発信してくれています。

――ありがとうございました!

 

在日シリア人ジャーナリストに直撃! メディアが報じない「プーチン支配のシリアの現状」暴露、 第三次世界大戦も…(インタビュー)の画像5左:ナジーブ・エルカシュ氏、右:深月ユリア

 シリアの現状を正しく把握してもいない人々が唱える安田純平さんの「自己責任論」など、いったいどんな説得力を持つというのだろう。むしろそれ以前の段階で、現状を知らない人々が有益な議論ができるようにと、勇気あるジャーナリストたちが自らの体を張っているのだ。現地の実情を目に焼きつけ、身をもって体験してきた者たちの存在は、日本国民が正しい道を選択するために不可欠だ。ナジーブさんが教えてくれたシリアの実情は悲惨そのものだが、1日も早くシリアが民主化と真の復興に向かうことを願いたい。

(取材・文=深月ユリア)


※ ナジーブ氏が安田純平さん解放の裏を明かした前編はコチラ

 

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ナジーブ・エルカシュ
1973年シリア生まれ。レバノンのベイルートアメリカン大学卒業(心理学専攻)。英国のロンドンフィルムアカデミーで映画制作を学び、1997年に来日。東京大学大学院、名古屋大学大学院にて映画理論を研究、日本映画のヌーベルバーグ、主に今村昌平を専門にした。制作会社リサーラ・メディアの代表として1998年から日本や北東アジアを取材し、アルアラビーヤやクウェート国営TV、オマーン国営TV、ドバイTV、フランス24、アシャルク・アルアウサト新聞など、アラブ諸国やヨーロッパのメデイアに取材を配信。東日本大震災以降、東北を集中的に取材。BS-TBS【外国人記者は見た!】レギュラーゲスト、『NEWS ZERO』、『テレビ史を揺るがせた100の重大ニュース』、『カツヤマサヒコSHOW』などに出演。アラブ・アジア・ネットワーク(A-Net)の代表として、文化交流の分野でも活動している。2005~08年に東京で開催されたアラブ映画祭(国際交流基金主催)や山形国際ドキュメンタリー映画祭のアドバイザーを務め、2008年には東京でアラブ・フェスティバルを主催し、アラブのジャズ音楽やアニメオタク文化を紹介した。愛知万博、上海万博、韓国の麗水万博では、参加したアラブ諸国の報道事業を担当。2020年に開催される東京五輪とドバイ万博を通じて、五輪や万博などメガイベント分野におけるパブリック・ディプロマシーのあり方を考えている。2006~07年には駐日クウェート大使館における教育・文化事業を担当した。
・ リサーラ・メディア公式ホームページ https://risala.tv/
・ 公式ツイッター @tawattor

 

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深月ユリア
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血をひき、魔女占い師・魔女優・オカルトライター・ホラー映画プロデューサーとして国内外で活動。深月事務所代表、TR総合探偵事務所で心霊捜査担当。最新刊『世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに』(明窓出版)大好評発売中!

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