「数学が苦手」な人は“数学トラウマ”に罹っているだけと確定! 元凶は宿題でもお馴染みの××… 克服法も!
■親と教師は「算数に向いていない」と言わないこと
では計算の速さに代わって、何が必要とされているのか? それは数学事実流暢性(math fact fluency)であるという。
数学事実流暢性はいわゆる“九九”を暗記することに加えて、割り算版の“九九”を覚えてしまうことだという。例えば3と5に組み合わせに関して、3×5=15、5×3=15、15÷3=5、15÷5=3、という組み合わせを丸暗記してしまおうということだ。言い換えれば“数のパターン”を頭というよりも感覚で捉えることに意味があるのだ。
しかしこの段階で終わってはいけないという。どうしてこうした計算結果になったのか、意味形成(sensemaking)のプロセスが必要であるということだ。この意味を理解するステップをスキップしてしまうと、数学的な深い理解は得られないのである。そして意味形成によってより深い、確固ながらもフレキシブルな理解を促し、その後の新しい問題への対処を可能にするのである。
こうした知見から、教育現場の教師と子どもの親ができることが2つあるという。
まず最初は、数字に楽しく触れさせることである。“賢くなるパズル”とも言われている「賢賢(Kenken)」や数独(Sudoku)、数学系のカードゲームなどを早い時期から子どもたちに遊ばせることで、子どもの数学事実流暢性を発達させることができる。そして、どうしてその答えを出したのかを質問してみることで、意味形成を促すことができるのだ。
その場合、最初に正誤を伝えるのではなく、どうしてそういう答えになったのかをまずはじめに説明させることが重要である。そうすることで子どもは間違えた場合に、どうしてそうなったのかを深く理解できるのだ。
2つ目は、どんなに間違えたとしても子どもに「算数に向いていない」と言わないことである。早くから理系を諦めさせて文系科目に集中させたとしても、いったん抱かされた“数学トラウマ”が学業全般の学ぶ力を損なうということである。
このように“数学トラウマ”は教育方針や認識の在り方によって十分に克服可能なものであり、算数・数学に早くから苦手意識を持つ理由などまったくないということが、最新の教育学から指摘されている。根っからの文系だという向きでも、改めて数学を学び直してみれば新鮮な発見がもたらされ人生が充実してくるのかもしれない。
(文=仲田しんじ)
参考:「Big Think」、「The Conversation」、ほか
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