「世界一忙しい無職」52歳のギタリスト・屍忌蛇の最低かつ最高な日常に密着インタビュー!出てくる言葉が強すぎる!

ガードレールの上で寝ていた女性をお持ち帰りしようとするも、重くて断念

 というわけで、屍忌蛇の新居へ移動することになった。歌舞伎町からタクシーでワンメーター。閑静な住宅街にあるガーリーな外観のマンション、その2階に屍忌蛇宅はあった。玄関の扉を開け、廊下を抜けると、お椀をくわえた安兵衛が畳の上をシャカシャカと走り回っていた。


――広くて綺麗な家じゃないですか。今度は追い出されないように気をつけてくださいね。

屍忌蛇 いいよ、追い出されても。なんぼでも引っ越したるわ!(と言いながら安兵衛を強引に抱きしめて、餌を与える)

――安兵衛は今、何歳ですか?

屍忌蛇 10歳。人間でいえば60歳。柴犬は、14、5歳が寿命って言われてる。その日が来るのが怖いし悲しい。だから、たまに練習してるの。安兵衛が昼寝してるときに死んでることにして、僕が安兵衛の胸に顔を埋めて「こんなに冷たくなっちゃって!」って泣くんです。あったかいんですけどね。「いつも酔って迷惑かけてごめん! もっと優しくしてあげればよかった!」と言って泣くの。

――そういうとき、安兵衛はどんな反応をするんですか?

屍忌蛇 ガルルルルル……って唸ってます。安兵衛は、酔った俺が嫌いなのよ。安兵衛だけじゃないな。みんな俺のことを煙たがる。人間的に最低だから(と言って、黒霧島のパックを牛乳のように飲む)。

――人間性はいざ知らず、ギターは最高だと思いますけどね。

屍忌蛇 俺は、ダメだよ。だってさ、上手(うわて)上手って、どんどん出てくるわけじゃん。

――テクニック的にですか?

屍忌蛇 いや、メロディ的に。若い人のギターメロを聴いて、「そう来るか」と思わされることも多々あるの。俺は山口百恵で止まってるわけだよ。

――それもまた持ち味じゃないですか。たとえば、VOLCANOの「Dead Men Tell No Tales」って曲があるじゃないですか?

屍忌蛇 いや、わかんない。

――自分の曲を忘れないでくださいよ……。

屍忌蛇 ヘヴィメタルって確かにね、「かかって来いアホんだら!」というスタイルを貫き通してるわけだよ。でもそうじゃなくて、もっとさ、優しくなろうよ、って思うのよ。クイーンだよ。次のアルバムは。クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」見た? 

――はい。

屍忌蛇 あの映画ってさ、クイーンを知らない人が見ても泣けるよね。あれを見て、「俺は何をやってるんだ?」と思ったのよ。クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」見た?

――はい、見ましたよ(笑)。

屍忌蛇 俺、VOLCANOのリーダーじゃん? もっとフレディのように早死にすべきだったんじゃないか、と思ったのよ。

――そういう問題でもないような……。

屍忌蛇 いや、俺は生き過ぎた。俺は最低だよ。

――ファンは次回作を待ってますから、長生きしてくださいよ。

屍忌蛇 俺も、もう52歳。「今からやぞ!」とは言いづらい年齢になってきたのよ。そういや、うちの母親がこないだ手術してね。

――ヘルニアですよね。

屍忌蛇 なんで知ってるの?(と言って目を丸くする) 姉が介護してるんだけど、姉は僕の電話に出たがらないわけですよ。姉弟のわだかまりだよね。

――屍忌蛇さんにはバンドメンバーやファンなど、血の繋がってないファミリーが大勢いるじゃないですか。ハンパじゃないプレイをこれからも聴かせてくださいよ。

屍忌蛇 いや、俺はハンパモンだよ。なぁ、安兵衛(と言ってディープキスを迫るも、安兵衛はそれをかわして別室へ逃走)。やっぱ、酔ってる俺が嫌いなんだな、安兵衛は……。

 酔えば酔うほどメランコリックになり、話も堂々巡りになってきたので、続きは日を改めることにしよう。次回お届けするインタビュー後編では、正装に身を包んだ屍忌蛇がシラフで現れ、愛と性と音楽について理路整然と語り出す!(後編はこちら

(取材・文=岡林敬太)※これまでのトカナの屍忌蛇インタビュー一覧はこちら

屍忌蛇(しいじゃ)

violent (VOLCANO) 画像はAmazonより

1966年生まれ、高知県安芸郡出身。Gargoyleでメジャーデビュー。脱退後、1997年にアニメタルに参加。アニメタル活動休止中の1999年にVOLCANOを結成した。バンド活動と並行して、テレビアニメ「けいおん!」などにもギターで参加。屍忌蛇という芸名は、本名の「靖」をひっくり返した「しすや」を英語風の読みにしてから、不吉な当て字をしたものだとか。

■ライブ情報

屍忌蛇率いるVOLCANO、4/14(日曜)WILDSIDE TOKYOに出演決定!

詳しくはこちらのサイト(http://ws-tokyo.com/schedule/21854/)から!

■取材協力店・Pepe Trick

新宿歌舞伎町にあるロックバー。経営者は、ライブハウス「目黒鹿鳴館」の代表でもある山口高明氏(通称ペペさん)。海外の有名アーティストや、屍忌蛇もときどき来店する。

東京都新宿区歌舞伎町1-2-7 星座館7F

TEL:03-6205-6609

Pepe Trick(Facebook)https://www.facebook.com/Pepe-Trick-242955832569034/

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