統合失調症、躁うつ、認知症…“認識が成り立たない家族”の生活を不動産執行人が暴露! 耳を切り取られた“息子”に一体なにが!?

――DV・自殺・暴力団・宗教・統合失調症…… 事故物件よりも鬱になる「暗黒物件」の闇を“不動産執行人”ニポポが語り尽くす…!

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画像は「getty images」より引用

 1922年に故・芥川龍之介氏が発表した小説「藪の中」。

 殺人・強姦という事件をめぐり、複数の目撃者や当事者がその立場から事件を語るのだが、これらの証言に矛盾点や錯綜部分が多く真相を掴むことが難しいという、「多元焦点化」が効果的に用いられた名作だ。

 この「藪の中」をモチーフに故・黒澤明監督が描き世界的に高い評価を得た映画作品「羅生門」(1950年)では、このようなセリフから物語が動き出す――。

「うーん、わかんねえ。サッパリわかんねえ」「何がなんだかわかんねえ……」

 この日の差し押さえ・不動産執行は最寄り駅より少々距離がありながらも、6mの道幅がゆったりと確保された閑静な住宅街。

 道路の両側には十分に手入れの行き届いた広い庭を携える注文住宅がズラリと並んでおり、どこか日本離れした高級住宅街を思わせる。

 とはいえ、住宅街の敷地を一歩抜ければそこには昔ながらの田園風景が広がるというチグハグさも否めない。

 そんな住宅街の中心地に位置する二世帯住宅が本日の当該物件。

 1階と2階に別れた二世帯住宅なのだが、作りが一般的な二世帯住宅とは異なり、門、玄関、駐車スペースと全てが独立しており二つの世帯が全く顔を合わすことなく暮らせるよう設計されている。

 ここから推測できるように、1階に暮らす兄と2階に暮らす妹の兄妹仲は芳しくなく、それでも一つの空間に暮らさざるを得なかったのは母親の遺産を巡る思惑からというものだった――。

 当該物件への執行はこのような兄妹仲の悪さから、妹がいない日、兄がいない日と2Days開催の予定が組まれることに。

 初日は債務者である兄の住む1階。

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