売れる芸人が掴んでいる「運の法則」と「引いて見る力」は? ビートたけし、松本人志、有吉弘行…<ラリー遠田×キック対談 >
ラリー 逆に言うと、スターになるにはここまでやらないとダメなのか、って思わされたということですね。今キックさんがお話しされていた「伝記理論」も「運の理論」も萩本さんの教えじゃないですか。この本では、1998年に萩本さんが長野五輪閉会式の司会を務めたときのことも書いています。歴史的なイベントの司会に抜擢されたのに、本人としては芸人を引退する覚悟で臨んでいた、という。
キック このとき、萩本さんは「こんな大きい仕事が入ってきて、下手したらお母さんが死んじゃう」と思っていたらしいですね。これだけの仕事運が来ているんだったら、家庭に悪いものが来るはずだ、っていう。
あと、印象に残ったのが、去り際がきれいだった上岡龍太郎さんと島田紳助さんですね。お二人とも、仕事でまだまだ使えた運があったのに、それを残したまま自ら幕を下ろしている。才能があるからまだ続けられるだろうに、その運をほかのところに回すことでバランスを取っているのかな、と思いました。
ラリー 紳助さんは問題を起こしてしまったという要素もありましたが、上岡さんは外から見る分には順調そのものだったわけですからね。たくさんのレギュラー番組があって、お金も十分に稼いでいて。まだまだいけるのになんで辞めんだろう、って普通は思ってしまう。でも、本人からしたら、これ以上行くとこれから大変なことが起こってしまうとか、何か感じるものがあったのかもしれないですね。
キック あと、戦っていく中で、お金で割り切れる部分と割り切れない部分っていうのがあったんじゃないですかね。他人から見たら、いっぱいテレビに出ているし、有名になって、リッチになって、って思うんだけど、本人にはそれじゃないところで自分の見せ方や芸人としてのこだわりがあるから。どうしても壊したくなるときっていうのはあるんでしょうね。松本(人志)さんも1997年に『ダウンタウンのごっつええ感じ』を降板する騒動を起こしていますけど、続けていればそのままお金は入ってきたわけじゃないですか。でも、そういう問題じゃないんでしょうね。
ラリー 松本さんは降板する前から番組スタッフに対して不満を抱えていて、それが原因だったと言われていますよね。それに加えて、番組の方針が変わって、松本さんが本来やりたかったようなコントができなくなっていたので、そのまま続けていても先がないと感じたのかもしれません。
キック 「先が見えちゃう」ってこともあるんでしょうね。
ラリー 松本さんは『ごっつええ感じ』を降板した直後、各週刊誌では「わがままだ」とか「自分勝手だ」とかボロクソに叩かれるんですよ。でも、この本でも引用していますけど、その直後のインタビューで「何年か経った後に振り返ったら大したことじゃないってなると思うんですよ」と言っているんですね。やっぱり見えてるんですよ。
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