ジェンダーバランスを正すため“女性のみ応募可”にしたオランダの大学求人に議論紛糾! 「危険なこと」「大胆に状況改善」
■「大胆な行動に出なければ状況は改善されない」
一方、このあからさまな“えこひいき”は応募する女性にとってもリスクを伴うものであるとして反対の立場を表明しているのがアメリカの女性タレント、ジーナ・ルードン氏だ。
彼女によれば今回の件がジェンダーバイアスに対する救済策として提案されていることは理解できるが、決して女性を救うものではなく、むしろ男性を差別するものになっていると指摘している。もしある女性が特定の組織で高い地位の仕事に就いた場合、多くの人は彼女にはそこにたどり着くための(能力ではない)特別なアドバンテージを持っていると考えるのが常であるという。
「(今回の求人は)採用された者が実際には有能ではなく、本来はその収入を得られない人物なのだというメッセージを送ります。これは女性にとって非常に危険なことです」(ジーナ・ルードン氏)
このように女性においても賛否は真っ二つに分かれるようである。
また、スペインの生物学者であるイサベル・ベルノス氏は研究者のジェンダーバランスの問題に取り組む委員会のメンバーなのだが、“強攻策”ではなくもっとソフトな対策があることを指摘している。例えば応募期間を設定せずに、有力な女性の候補者が現れるまで募集を続けるといった方策だ。実際にベルノス氏の研究組織(Centre for Genomic Regulation)ではこの方法で女性リーダーの数がこの2年半の間に倍増したということだ。
さまざまな意見に晒されている同大学のスミッツ学長だが、あくまでも今回の“強攻策”の決断に揺らぐことはないようである。ある意味での“ショック療法”として必要とされているというのだ。
「大胆な行動を取らなければ、状況は改善されません」(ロバート・ジャン・スミッツ学長)
EUにおける女性科学者の実態をリポートした「She Figures 2015」でも女性研究者の割合の慢性的な低さが指摘されており、2011年の段階でEU内の研究者は女性が3分の1を占めるに過ぎず、キャリアを積んでリーダー格になる女性研究員は2013年の時点で全体の21%に留まっていることが報告されている。
そして、もちろんこれはアカデミックな分野だけの話ではない。今後ますます推進される「男女共同参画」において、時にはこうした“強攻策”が必要とされてくるのかどうか、どんな分野においても議論となる話題であることは間違いなさそうだ。
参考:「Sott.net」、「RT」、「Science Magazine」、ほか
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