ーーどういうことですか?
名越 目的があるようで全然なかったんですよ。近田くんは「刑務所を撮りたい」って言っていて、テーマも何もなくて刑務所っていう行き先だけがあって。でも、アポなしで撮れるわけないじゃないですか。突撃して門前払いを食らってどうしよう? いろんな人と知り合いながら、当初の目論見とは違う何かを探している合間に、刑務所とは全然違う写真をどんどん撮っていった。その時の写真がこの本にも含まれています。
ーー週刊誌の記事になる目処は、なくはなかったんですよね。
名越 全然なかったと思いますよ。そもそもページにならないと思っていたから、文章を読んで、そんなに記事にしたかったんだって初めて知りました。僕自身は自分の写真を撮り貯めに行くイメージのほうが強くて、近田くんはそのきっかけを作ってくれているのだと思っていたんです。そのお返しにいい写真を撮ろうっていう気持ちはありました。