死体は死後1年間以上“のたうち回って”動いている! 長期観察で判明した“死体の動き”とは?

 研究チームのアリソン・ウィルソン氏は、死体の腐敗のきわめて早い段階では何らかの動きが見られるとは見込んでいたが、それが撮影の全期間にわたって続いたという事実には驚きを禁じ得なかったという。

「身体はミイラになり、靭帯が乾燥するので、死体の動きは腐敗のプロセスに関係すると考えています。今回の研究で得られた知見は、原因不明の死亡の調査において重要になる可能性があります」(ウィルソン氏)

 今回の発見は、事件で遺体がしばらく発見されていない場合において、犯罪現場の科学的な捜査方法に大きな影響を与える可能性があるということだ。

死体は死後1年間以上のたうち回って動いている! 長期観察で判明した死体の動きとは?の画像2
「Futurism」の記事より

■犯罪科学捜査に大きな影響を与える

 これまで、動物または人間によって死体が動かされたという証拠がない限り、当然ながら法医学者は通常、発見された死体の位置は死亡時と同じ場所であると想定している。

 今回のウィルソン氏の研究は、人体の腐敗・分解を研究するために時間経過観測を行った最初の研究であり、死亡時の死体の位置がまったく同じであるという仮定が当てはまらない可能性があることを初めて示すものになった。

 タイマー撮影を活用した観察を行った今回の研究で、犯罪科学捜査に用いるツールとして、このカメラのシステムの有効性が示されたという。これらの発見に基づいて、死後の動きに関する統計データを作成するのに十分な数の死体を長期にわたって観察できれば、その知識を活用して将来的に犯罪現場をより正確に分析できるということだ。

死体は死後1年間以上のたうち回って動いている! 長期観察で判明した死体の動きとは?の画像3
「Science Direct」の記事より

 こうしたデータベースは、死体の動きに関する情報を提供し、それによって法医学者は死亡時の遺体の位置を再現することができる。またそこから時系列的に何が起こったのかを把握するのに役立つものにもなる。

「犯罪現場をマッピングし、犠牲者の遺体の位置をマッピングし、発見された物理的証拠をマッピングすることで死因を特定できます」とウィルソン氏は語る。

 亡くなった後の遺体が、実はかなり“のたうち回っている”という今回の研究結果が犯罪科学捜査に与える影響は少なくないようだ。

参考:「Futurism」、「Science Alert」、「Science Direct」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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