オリンピック後の都市を表現した現代美術展「TOKYO 2021」は必見!! 圧倒的なスケールとインパクトで“切実な未来”を描く!

 入口から磯村暖の地獄の亡者の彫刻群が「WELCOME」とお出迎え、斜めに横切るように床に置かれた座布団は梅田裕の作品だ。それに導かれるように左手から作品を観ていくことになる。

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(右から)宇川直宏《A Series of Interpreted Catharsis episode2 – earthquake》2007、梅田裕《53 つぎ》2019、磯村暖《เปรตไปม็อบ (プロテストする地獄の亡者、ある時にはプロテストしたので地獄に落ちた亡者)+モ ゙ク丸ヒト丸、dot0a、中川春香、他8名による地獄の亡者の彫像群》2019、大山顕《Firewall》2019

 Site A「災害の国」の展示で印象的なのは、過去の日本現代美術からの繋がりだろう。

 80年代に鉄屑や廃材を使って巨大インスタレーションを制作していた故・三上晴子の作品の存在が際立ち、また、同時期に彼女と活動を共にし、演劇という形で表現活動を展開した飴屋法水は自分自身が作品となって、展示会場の床に座り込むパフォーマンスを続けていた。そこには、80~90年代の日本の現代美術が表現していた荒廃した未来感の残像が見えてくる。

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ア ヤ ズ《ニシ ポイ》2005-2019 ※飴屋法水

 さらに現代的な視点から現実や災害を見据える作品が続く。街ゆく人びとのインタビューを個室で鑑賞する高山明、大戦末期に日本軍が開発製造した「風船爆弾」が実際に着弾したアメリカの地を訪れる竹内公太、震災被害者の行動記録をデジタルアース上に可視化した渡邉英徳の作品など、丹念なリサーチを前提にしているがゆえに、鑑賞者もじっくりと作品に向き合うことを求められる。

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高山明《個室都市東京2019》2009-2019
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竹内公太《盲目の爆弾》2019
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渡邉英徳《「忘れない」震災犠牲者の行動記録》2019

 一方で、地震を再現して、その様子を写真と映像で記録した宇川直宏、防火壁にもなる集合住宅の全景を超横長写真で見せる大山顕などは、災害というモチーフを直感的に訴えかけてくる。

 続けて、Site B「祝祭の国」に足を踏み入れる。

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