オリンピック後の都市を表現した現代美術展「TOKYO 2021」は必見!! 圧倒的なスケールとインパクトで“切実な未来”を描く!

 会場中央を占拠して白い光を放っているのは、本年度の岡本太郎現代芸術賞受賞者、檜皮一彦の作品だ。よく見るとその構造物は車椅子を積み上げたもので、蛍光灯に照らされて浮かび上がる「顔」は岡本太郎本人が《太陽の塔》のために造形した縮小模型だという。

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檜皮一彦《hiwadrome : type THE END spec5CODE : invisible circus》2019

 この作品のインパクトだけでもヤラれてしまいそうだが、檜皮の作品の真後ろには、両側に提灯が下がった参道を浴衣姿の踊り手たちがこちらに向かってくる様子が造形されている。絵画作品を立体的にインスタレーションする弓指寛治の作品である。

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弓指寛治《黒い盆踊り》2019

 右手の階段を降りると、浸水した中にフラッシングを繰り返す大きなモニターの光が反射する、洞窟を思わせる瞑想の場のようだがHouxo Queの作品だ。

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Houxo Que《un/real engine》2019

 左手奥には逆さ富士のごとく放射線状に広がる藤元明の立体作品《幻爆》があった。そして、その背後からはやはり藤元明の《2026》が現れる。そう、2025年の大阪万博の翌年の年号だ。その年号の壁をくり抜くように刻まれた部分は鏡になっており、向かいにある《幻爆》の光、そして鑑賞者の姿まで映し出してくる。

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藤元明《幻爆 着弾ver.》2019
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藤元明《2026》2019


 Site B「祝祭の国」は、スケルトンならではの自由度を活かして、アーティストたちが大掛かりなインスタレーションで競い合っているところが見所だろう。

 TOKYO 2021の総合ディレクターも務める藤元明は「時代は作家が作るのではなく、鑑賞者自体が時代そのものになる」と語っている。黒瀬陽平キュレーションによる緻密な構成が作り出すストーリー性と相まって、「2021」が象徴する未来はもっと切実なものとして鑑賞者に迫ってくる。

 2019年、日本の現代美術界は、あいちトリエンナーレにまつわる騒動に大いに翻弄されてきたようにも思う。そこから生まれた日本の現代美術に対する不信や議論をはねのけるように、この展覧会は現代美術の力を実感できる、今こそ必見の内容となっている。

■開催概要

展覧会名: TOKYO 2021 美術展「un/real engine ―― 慰霊のエンジニアリング」
会期:9月14日(土)~10月20日(日) 11:00-20:00 火曜定休
会場:東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 1F
※SiteA「災害の国」とSiteB「祝祭の国」の2会場に別れています。SiteAは会場ビルの日本橋方面、SiteBは会場ビルの銀座方面になります。
入場:ウェブサイト(https://www.tokyo2021.jp)より事前登録。
※展覧会は2会場で開催されており、うち1つは事前登録なくご覧頂けます。事前登録が必要なのはSiteBになります。
キュレーション:黒瀬陽平
会場構成:西澤徹夫
参加作家:会田誠、飴屋法水、磯村暖、宇川直宏、梅沢和木、梅田裕、大山顕、カオス*ラウンジ、カタルシスの岸辺、キュンチョメ、今野勉、たかくらかずき、高山明、竹内公太、寺山修司、中島晴矢、中谷芙二子、八谷和彦、檜皮一彦、藤元明、三上晴子、宮下サトシ、山内祥太、弓指寛治、渡邉英徳、Houxo Que、MES、SIDE CORE

文・写真=ケロッピー前田

ケロッピー前田(けろっぴー・まえだ) 

1965年、東京都生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(のちにコアマガジン)を経てフリーに。世界のカウンターカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『BURST』(白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動は地上波の人気テレビ番組でも取り上げられ話題となる。著書に『クレイジートリップ』(三才ブックス)、『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、責任編集『バースト・ジェネレーション』(東京キララ社)など。新刊本『縄文時代にタトゥーはあったのか』(国書刊行会)絶賛発売中!

公式twitter:@keroppymaeda

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