車に轢かれて死んだ動物の肉は食用になるのか?“屍”のジビエ化は可能か検証

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画像は「Wikipedia」より

■不運な動物たちを“有効活用”

 見たところ健康状態に問題がなさそうな個体であった場合、続いていくつかの確認ポイントがあるという。

 最初は温度だ。真夏の季節などは当然ながら死骸の腐敗も早くなるため、ロードキルを目撃した個体や、あるいは自分が轢いてしまった個体などを除き、死んでから時間がたっている個体は避けたほうが賢明だ。マイヤー氏は猛暑の日は、死後15分以上過ぎている個体は敬遠すべきという。

 細菌は通常、高温になるほど早く増殖し、夏場などはわずか20分で細菌の数が2倍になるという。細菌が増殖した死肉は焼いたり煮たりしたとしても、きわめて危険なのである。増殖した細菌はガスを発生させるので、腹部が膨張した個体は特に避けなければならない。

 温度の次に考慮すべきは現場の環境である。水たまりに浸かっていたり路上が泥まみれであった場合、死骸の劣化は当然早くなっていて、衛生面のリスクが高まる。チェックするのはやはり腹部の状態で、ロードキルの衝撃により腹部に亀裂ができているケースなどでは、漏れ出した腸内細菌に触れた肉は食べられなくなる可能性が高いという。

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 そして州によってはこうした路上の動物の死骸を持ち去る際には地方行政当局に報告が義務付けられている場合もある。例えばバーモント州では、猟区管理当局へ電話連絡し、その場で許可を得なければならない。

 それでももちろん、こうした行為がネガティブなものとして見なされているわけではなく、たとえばバーモント州当局では野生動物の解体法を教える教室も希望者に提供されている。

 轢死した動物の肉を食べるという考えは多くの人々にとっては奇異なアイディアではあるが、基本的にジビエは健康的でナチュラルな良質のタンパク源である。不幸にも死んでしまった動物の“有効活用”としても、今後さらに見直されてくるのかもしれない。

参考:「Live Science」、「The Sacramento Bee」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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