ナチスの残党の真実! トンデモ本と言われた落合信彦の『20世紀最後の真実』の前半部分がかなり真実だった件!
そこはコロニア・ディグニダつまり尊厳のコロニーと呼ばれた共同体で、ナチスの元伍長だったパウル・シェーファーが絶対的な権力を握る武装カルト集団だった。広大なコロニーの周囲は高い鉄条網と膨大な監視施設で守られ、その中には農場から病院まで自立するために必要なすべての設備が整っていた。アウシュビッツ収容所で人体実験を行い「死の天使」と恐れられたヨーゼフ・メンゲレ医師も戦後コロニア・ディグニダに潜伏していたことがわかっている。
コロニア・ディグニダは1990年にチリのピノチェト独裁政権が倒れるまでは反政府主義者の拷問を引き受けるなどチリ政府と共存していたが、ピノチェト失脚後にその実態が暴かれた。パウル・シェーファーはチリを脱出した後に2005年にアルゼンチンで逮捕され、虐待の罪で刑務所に収容中に死亡している。つまり落合氏が訪れたエスタンジアは実在した極めて危険なナチスコミュニティだったのだ。
落合氏はヘンドリックス氏のナチス軍人時代の旧知の知人に対してもインタビューを行う。クライマックスは「フェニックス」というコードネームで呼ばれるナチスドイツの大物との対面だ。フェニックスは戦後南米に逃亡したナチス幹部のひとりで、逃亡者の優先リストでは元ゲシュタポ長官のハインリッヒ・ミュラーにつぐ二番目の地位にあったという。フェニックスの正体はいまだに明かされていないがあるナチス親衛隊中将だったのではないかと噂されている。
落合氏が行ったフェニックスへのインタビューで判明した南米への逃亡ルートはその後の研究でも裏付けられている。フェニックスはオーストリアのインスブルックからイタリア国境のブレンネル峠を越えボルツァノまで逃げてそこでカトリック神父に保護されて南米へと渡ったと証言しているが、後にこのルートは多くのナチ党員が実際に使ったルートであることがわかっている。南米には戦前から80万人ものドイツ移民が移住しており、逃亡した元ナチス党員はその移民社会にまぎれていくのである。
ただ『20世紀最後の真実』でこのフェニックスにたどり着く前に行われたふたりの元ナチス軍人へのインタビューのほうが実は驚くべき真実に近づいていたことが、つい最近になってわかったのだ。
インタビューではジョセフ・ヘンドリックス氏のバリローチェ(アルゼンチン)時代の知人で、その後ヘンドリックス氏とは別のルートでパラグアイのアスンシオンに定住したふたりの元ナチス軍人が証言をしている。
そのうちのひとりがカールという名の元SS大尉で1949年からバリローチェでレストランを経営していた。バリローチェは南米のスイスと呼ばれる観光地で、後に多くの元ナチス党員がこの地に逃れていたことが判明している。
■謎の男「フアン」とは?
さて1960年に大事件が起きる。バリローチェを内偵していたナチハンターが彼のレストランで偶然、ブエノスアイレスから保養に来ていたアイヒマンを目撃したのだ。その後アイヒマンは秘密警察モサドによって拘束されイスラエルに連れ去られる。
もともとアルゼンチンに逃れたナチス党員を援助していたのが当時のフアン・ペロン大統領だが彼は1955年に失脚し、その後、元ナチスの立場が急速に不安定になっていた時期だった。
アイヒマンの拘束によって、同様の立場の元ドイツ軍人は国境を越えてチリやパラグアイに逃れる。インタビューを受けたふたりの元ナチス軍人もパラグアイに逃れ、首都アスンシオンで現地コミュニティに解けこむことになる。この一連のインタビュー証言の中に二ヶ所だけ、あまり重要ではない形でさらりと「フアン」という人物が登場する。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊ナチスの残党の真実! トンデモ本と言われた落合信彦の『20世紀最後の真実』の前半部分がかなり真実だった件!のページです。ナチス、ヨーゼフ・メンゲレ、アイヒマン、マルティン・ボルマンなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで