死んだ娘と母親がVRで再会、韓国人は“全員感動”! しかし、世界は「詐欺霊媒のハイテク版」指摘… AI美空ひばりは?
■専門家「大きな倫理的懸念がある」
一方、英サセックス大学の哲学者、そして技術倫理学者のブレイ・ウィットビー博士は、死んだ人々とバーチャル・リアリティを使って“再会”することの心理的影響について、私たちには十分な知識がない、と言う。
そして、「多くの精神科医は、この手の“再会”は、潜在的に不健康だと見なすだろう。その理由は、これが利益の追求に使われる可能性、もっといえば、人々が搾取される悪いケースにつながることです」と語る。
英レスターのデモンフォート大学のコンピューティング/エンジニアリング/メディアの副学部長であるサラ・ジョーンズ博士も同意見だ。博士は、この実験には倫理的懸念、そして数々の疑問があると語った。
「主な懸念の1つは、故人の権利です。果たして、死者はデジタルで生き返りたいのかどうか? そして、彼らが話す言葉は、誰がコントロールしているのか? バーチャル・リアリティを操作することで、彼らが同意しなかったであろう会話を強制する事態が起きることも考えられます」(ジョーンズ博士)
そして別の懸念は、その関係をいつまで維持するか、ということだと言う。1回だけの再会なのか、それともその関係を継続するのか……?
さらに、この手の“再会”は悲嘆に暮れる人々の助けにつながるだろうが、故人の権利と、人々の心の操作という問題を無視することには、大きな倫理的懸念があると話した。
また、イギリスで懐疑論者のための雑誌「The Skeptic」を創刊したジャーナリストのウェンディ・グロスマン氏も、バーチャル・リアリティを使用して、死者と生者を再会させることに対する根本的な倫理観を重要視する。
グロスマン氏は英紙「Daily Mail」オンライン版のインタビューにこう語った。
「私にとって、この“再会”は、かつて詐欺師的な霊媒がしていたことの“ハイテク版”という印象です」(グロスマン氏)
そしてグロスマン氏にとって、娘のアバターを誰がコントロールするかは、重要な質問だという。アバターが言うこと、そして動きを提供している人々、もしくは企業が、子どもに死なれた親や家族の感情を操作する事実は、恐ろしいと語っている。
亡くなった人のバーチャル・リアリティを見ることで、悲嘆にくれている家族が、悲しみから立ち上がる力となることは素晴らしい。ただし、それはあくまでもバーチャル・リアリティで、誰かが、言葉や動きを制御しているのだ。もし心が弱った人々が、バーチャル・リアリティに言われたことをそのまま信じれば、数々の問題や詐欺事件などが起きるだろうことは、容易に予想できる。
このバーチャル・リアリティは、確かに、グロスマン博士の言う“霊媒師のハイテク版”になり得ることを忘れてはならないだろう。
参考:「Daily Mail」、ほか
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