「日本の大麻取締法の規制根拠に強い疑問」弁護士・亀石倫子が断言! 高樹沙耶×石丸元章「大麻と法律」徹底議論

 衝撃の大麻逮捕から4年! ついに高樹沙耶の執行猶予があけて、晴れ晴れしくここに立つ。この間、高樹さんは大麻について様々なことを発言してきた。TOCANAでも大学教授、ミュージシャン、医師、市井の使用者、文学者、反対の人……。たくさんの人々との対話を積極的に敢行して、意見や感覚をセッションさせてきた。そして今回! 新型コロナ禍の中でーー、“大麻取締法は本当に必要なのか”をテーマに、弁護士の亀石倫子さんと大麻と法律に関する対話を行なった。

石丸元章(以下、石丸) 今回の高樹沙耶さんと大麻をめぐる対話は――弁護士の亀石倫子さんがゲストです。亀石さんは、大阪でタトゥアーティストが医師法違反に問われた裁判や、公安委員会の許可を取らずにクラブの営業をすることが風営法違反に問われたクラブ風営法裁判といった、ストリートカルチャーが法律との摩擦を起こしている現場で、弁護士として活躍されています。

高樹沙耶(以下、高樹) はじめまして! よろしくお願いします。

亀石倫子(以下、亀石) こちらこそ!

画像は「講談社」より引用

石丸 高樹さんは、ちょうどもうすぐ2017年に大麻で受けた有罪判決の執行猶予が終わる時期です。この時期に「大麻と法律」ということを、亀石さんと話してみましょう。

石丸 最初にーー新型コロナ、石垣島どうですか。沖縄のデニー知事は「どうか今は沖縄に来ないでください!」と必死のアピールをしてましたが。

高樹 4月に感染者が出るまではほとんど普段と変わらなかったんですよ。ワイドショーで『石垣島に観光客が押し寄せている』なんて報道が出てから様子が変わってきましたね。そのすぐ後に島で初めての感染者が確認されてからは一気に街の雰囲気が変わってしまいました。4万8000人くらいいる石垣島の市民が、2週間の自宅待機になりました。石垣島は離島で医療体制が弱いんですよね。PCR検査も5月に導入するまでは沖縄本島に検体を送って調べるしかなかった。観光でいらした感染者2名に対して、濃厚接触者が100人以上もいるそうです。観光、レストランはほとんど営業の自粛をしていて、開けているお店もTAKE OUTのみですね。しかし、こんなことになるとは。驚いています。

石丸 沙耶さんはどう過ごしているんですか。

高樹 私は今、宿泊業をしていますので完全休業です。住んでいる環境がジャングルですので、お客様が来ないという事以外ではストレスは少く、お野菜を作ったり、庭仕事をしたりのんびり暮らしています。

石丸 亀石さん。法律の仕事には、コロナの影響はあるんですか。

亀石 緊急事態宣言の特定警戒都道府県に指定された大阪の裁判所は、DVなど緊急を要するもの以外、いち早く判決や調停の期日を取り消しました。緊急事態宣言が全都道府県に拡大されてからは、ほとんどストップ。私も仕事がほぼキャンセルになって、引き籠り状態です。

石丸 裁判の日程が先延ばしになったわけですね。影響大きいですね。それで亀石さんは「大麻取締法」という法律について、法律家としてどのように考えてらっしゃいますか。

亀石 私は刑事事件を専門にする法律事務所に6年間勤務していたので、これまで数多くの被疑者、被告人の弁護をしてきました。大麻取締法違反事件もたくさん担当していますが、この法律がおかしいと裁判で主張したことはないんです。

石丸 ふむふむ。


■大麻を取り締まる法律をめぐる議論

高樹 大麻を取り締まる法律自体はおかしなものではない、と?

亀石 いえ、そうではなくて。弁護士として被疑者や被告人の利益を最大限に考えて弁護活動を展開していく上で、大麻取締法そのものがおかしいと主張して争うことを望む被疑者や被告人が、たまたまいなかった――ということです。多くは単純所持(持っているだけ)の事案なので、有罪になっても執行猶予がつきます。あえて法律自体のおかしさを問題にして争おうとする人はいませんでした。ただ、個人的には、諸外国で医療用大麻や嗜好用大麻が解禁される動きを見ていて、日本の大麻取締法の規制根拠には疑問を強く感じています

石丸 なるほど。これまでたくさんの大麻裁判の被告たちと接してきて、どんな印象を持ってらっしゃいます。大麻で裁判にかけられる人たちは、どういう人達なんでしょう。

亀石 普通の人達ですね。私は仕事柄、覚せい剤の裁判もたくさん経験してますが、印象としてはかなり違います。覚せい剤は依存性が高く、購入資金をつくるために強盗や窃盗などの二次犯罪を起こすことがありますが、大麻を使用して、そうした二次犯罪を起こした人はいませんでしたね。

高樹 私は覚せい剤の世界は知りませんが、でもそういう話は聞いた事があります。石丸さんの代表作『アフター・スピード』の中でも、覚せい剤使用中の石丸さんは“生きたひよこのスープ”とか“猫のウンコのじか巻きおにぎり”とか逮捕される直前は完全に頭がおかしくなっていて、よく二次犯罪犯さずに『無事(!?)に捕まって良かったな』と感想を持ちました。

亀石 なかには、幻覚などの副作用で、コンビニでお札をコピー(通貨偽造)して捕まった人もいるくらい。

石丸 いかにもバレそうです。

高樹 当時の石丸さんだって、いかにもしそうです。

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