「大麻の非合理的な規制がとても嫌い」美人弁護士・亀石倫子が断言! 芸能人の見せしめ大麻逮捕の矛盾を高樹沙耶×石丸元章が徹底議論
石丸 そもそも、いつ頃から法律家を目指すようになったのでしょう。
亀石 普通に文学部に進んで、普通に一般企業に就職したんですが、全然、会社員が性に合っていないことに気づいて。
石丸 なるほど。
亀石 就職してからは、組織に属して働くことに向いていないと気付いて、3年半くらいで会社を辞めました。ただ、働くのは好きだし、社会の中で居場所を見つけたかった。その居場所を求めて悩んでいました。そのときに司法試験のパンフレットを見たんですね。当時、会社を辞めて時間がむちゃくちゃありましたから、寝る時間を惜しんで勉強すれば何とかなるかも――と、軽い気持ちで法律家を志しました。
石丸 はい。
亀石 そして大阪市立大学法科大学院へ通っているときに、恩師である高見秀一先生に出会ったんです。高見先生は 和歌山カレー事件の林真須美死刑囚の弁護人を務められていました。
石丸 ああ。
高樹 今、林死刑囚は再審請求をしていますが、和歌山地裁、大阪高裁で認められず、この4月に最高裁に特別抗告しています。
亀石 当時の私はテレビの報道をそのままに、「絶対、このおばさんが犯人に違いない……」と思いこんでいました。家の前に張り込むメディアの人たちにホースで水をかけている映像が印象で、この人は悪い人なんだ、だから犯人に違いない、と決めつけていたわけです。そんな人を弁護している高見先生に出会って、衝撃を受けました。本当に無罪だと考えているのか/仕事として仕方なく弁護しているのか不思議でした。
石丸 ふむ。
亀石 それで先生へ、「どういう気持ちで弁護しているですか」と率直に聞いてみたら、先生は心から無罪と信じて弁護しているんですよね。
石丸 ふむふむ。
亀石 「あのおばさんは、お金のためだったら何でもする。実際、保険金詐欺をたくさんやって、それについては認めている。しかし、カレー鍋にヒ素を入れて無差別殺人を犯したところで、お金は1円も入らない。動機がないんだ」と。
石丸 人間の全体像から判断されてるわけですね。
亀石 そもそも――当時の私は、ヒ素が含まれる薬剤が家にあったということが不思議だったんですが、あの地域はシロアリが多くて、シロアリ駆除の薬剤が近所のどの家にも置いてあるそうなんです。だから、誰が事件を起こしても不思議ではなかった。
石丸 なるほど。
亀石 高見先生からいろいろ聞いて、一体、私は何を根拠にあのおばさんが犯人だと決めつけていたのだろう――と愕然としました。
高樹 私は自身が報道リンチにあった当事者なので、反対側の立場から理解できます。あの時のTV報道は大麻所持事件としては異例で、長い期間、ワイドショーをはじめとしてニュース番組でも逮捕や判決を何度も取り上げられました。判決の時がピークで生放送まであり、まるで凶悪犯か大事件か! という感じでした、今思えば報道というより、大麻についてのネガティブキャンペーンという誘導であったと思っています。あれ以降は高樹沙耶のイメージは急転落してしまったのはすっごい感じましたね。こうしてイメージというものは、いつの間にかテレビによって焼き付けられるのです。
亀石 気づいたことは――「この人が犯人だ」というフィルターをかけて報じていて。私はそれを鵜呑みにしていた。なんの疑問も持たなかったんですね。
石丸 なるほど。
高樹 このフィルターというのが厄介。
亀石 当時、私は、自分には偏見や差別はないと思っていました。しかし、実際は気がつかないうちに、偏見を持って林死刑囚を見ていたし、被疑者や被告人という立場の人に対して、先入観を持っていた――そのことは私にとって、生涯で一番大きな衝撃でした。それで、「高見先生のような刑事弁護人になろう」と心に決めたんです。どんなに社会から偏見を持たれて、差別されていようとも、私はそちら側に立って、真実は何かを追求していこうと思いました。
高樹 もっと早く亀石さんに会いたかったな! できれば逮捕直後に。私の裁判の弁護を頼みたかった!
このあとさらに対話はアグレッシブに展開する――中編に続き後編は、「大麻で逮捕でされて裁判で勝つことはできるのか!?」……Comeing soon!
(つづく)
◎亀石倫子(かめいし・みちこ)
1974年6月22日、北海道生まれ。「法律事務所エクラうめだ」代表弁護士。東京女子大文理学部英米文学科卒業後、1997年に札幌で通信会社に就職するも、3年半で退職。結婚して、大阪に転居する。たまたま目にしたパンフレットで弁護士を志し、2008年に司法試験に合格。2009年に大阪弁護士会に登録、刑事事件を数多く手がける。共著に『刑事弁護人』(講談社現代新書)
Twitter: @MichikoKameishi
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◎高樹沙耶(たかぎ・さや)
1963年8月21日、静岡県生まれ。元女優、元作詞家、石垣島のキャンピングロッジ 「虹の豆」オーナー。1983年に主演映画『沙耶のいる透視図』で女優デビュー、映画&ドラマシリーズ『相棒』ほか、数多くの作品に出演、人気を呼ぶ。著書に『贅沢な暮らし—衣食住が育む「心のラグジュアリー」』(エクスナレッジ)、『ホーリープラント 聖なる暮らし』(明窓出版)ほか
Twitter: @ikuemiroku
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