生物学者・池田清彦が「日本の大麻問題」を語る! 多数派の意見を正しいと信じ込む若い人へ…思考停止こそダメ、ゼッタイ!(高樹沙耶・石丸元章)

●「先生は大麻を吸ったことはないんですか」(高樹)

高樹 ところで、先生はオーストラリア時代も含めて、一度も大麻を試したことはないんですか。

池田 一切、ありません。

石丸 おおおおお。

池田 ははは、興味がありませんでしたからね。煙草は20代の頃、1日80本も吸っていたこともありましたが、33歳でやめました。人にもよりますが、自分の体にはあわなくて、吸い続けていたら死んでいたと思います。それと同じように、酒も大麻も体質によってあう人もあわない人もいると考えています。痛みに効く人もいれば、よく眠れるようになる人もいるかもしれない。もしかしたら、副作用がある人もいるかもしれないけれど、試してみなければわからない。それを端から、「ダメ、ゼッタイ。」とすることは、個人の自由に反することだと思います。

高樹 私の場合、体質として合うのかもしれません(笑)。

画像は「Getty Images」より引用

●「モルヒネが許されて大麻が許されていないのはおかしい」(池田)

池田 また、疼痛緩和(痛みを和らげる目的)で、完全に麻薬であるモルヒネが許されていて、大麻は一切許されないという状況はおかしい。モルヒネは麻薬だけれど、末期がんの苦しみを救うために許されている。なぜ大麻は許されないのか。その理由が、ボクにはまったくわからない。

高樹 世界で医療大麻、嗜好大麻が解禁されていくなか、「日本では大麻を吸うと精神病になる」とかおかしなことを厚生省が広めています。国民を馬鹿にしているというか、愚民化政策を進めようとしているというか……。大麻に医療効果があるというエビデンスが世界の常識になっているなか、その流れに棹さしている。そして、ここにきて、大麻取締法による逮捕者は増え続けています。これは国民から治療の手段や癒しの機会を奪う恐怖政治としか、私には思えないのです。

池田 権力は何でもいいから、言うことを聞かないヤツはしょっぴくぞ、ということでしょうけれどね。結局、独裁化を進めたいんでしょう。

石丸 大麻問題を考えていくと、日本という国家の根深い構造問題が浮き彫りになっていくのか〜。

池田 大きく言うと、人口減少社会では、グローバルキャピタリズム(資本主義による支配)が衰退することはほぼ自明ですが、いまは最後の悪あがきをしているところで、「国民は為政者の言うことを聞け!」ということになってきている。

 日本では、グローバルキャピタリズムで水道でも何でも民営化、規制緩和を進めようとしているけれど、昔は利潤に余裕があったので、それを国民にもお裾分けをして、ある程度、貧乏人/金持ちがウィン・ウィンの関係を築けた。今は余裕がなくなってきたので、資本主義体制のなかで少しでも利潤をあげるために、リストラや非正規雇用を増やして、人件費を抑えるしかなくなった。それでダメだったら、外国人労働者を雇用する──ただ、そういう方向を極端に進めると、国民が反発してしまう。

石丸 人材派遣とか非正規雇用、外国人研修生などの問題ですね。

高樹 でも、さほど世間で反発の声は高まっていません。

池田 反発させないように、国民を家畜化、言いなりにするような政策が取られてきたんです。

石丸 うううう、泣ける。

池田 その一環として、大麻は悪いものと国民に刷り込みつつ、大麻規制を行っているんだと思います。ただ、そんなシステムは長く続かないので、いつかひっくり返る。権力はそれを先延ばししようと、必死にもがいているんだと思います。

高樹 いつかひっくり返るのは、どういうことがきっかけになるんでしょうか。

池田 人間は食べられるうちは我慢できるけれど、国民の3分の1が明日の食べ物も手に入れられなくなったら……。想像してください。暴動のようなことが起こる。実際、アメリカではそういうことが原因で暴動みたいなことが起こってますからね。

高樹 危ういことをおっしゃっていますね(笑)。そういうようなことを含めて、私もTwitterでわりと過激なことをつぶやくんですが……。

石丸 高樹さんも池田先生のTwitterは炎上系というか。ネットニュースになることも多いです。

高樹 揶揄した感じでね(笑)。「現代の日本では、自分がマジョリティの側に立っていられる局面で人々は、マイノリティ側の人を嬉々としていじめている」とも先生はお書きになっていますが、ネットを含めて、メディアも同じですよね。それで……ずっと、私のTwitterに対して、ディスるレスが多かったんですよ。正直、最初の頃は感情的になってしまっていました。先生のところはいかがですか?

池田 ボクのところへは、ほとんどありませんね。ちょっとでもおかしなレスをしてきたヤツは、ブロックしてしまいますしね(笑)。

高樹 「3年でディスりは減る」と先生は書いていました。私も大麻で逮捕されて裁判結審から3年。実際、以前より「日本を出ていけ」とか「死ね!」とかいうレスが歴然と減ってきました。

池田 飽きてしまいますからね。感情的になったり、ていねいに返信したりすると、相手が喜んじゃうから、放っておいたほうがいいんですよ。しょせん、クレーマーのようなヤツらばかりですから……。

関連キーワード:, , ,

人気連載

現実と夢が交差するレストラン…叔父が最期に託したメッセージと不思議な夢

現実と夢が交差するレストラン…叔父が最期に託したメッセージと不思議な夢

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.11.14 23:00心霊
彼女は“それ”を叱ってしまった… 黒髪が招く悲劇『呪われた卒業式の予行演習』

彼女は“それ”を叱ってしまった… 黒髪が招く悲劇『呪われた卒業式の予行演習』

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.30 23:00心霊
深夜の国道に立つ異様な『白い花嫁』タクシー運転手が語る“最恐”怪談

深夜の国道に立つ異様な『白い花嫁』タクシー運転手が語る“最恐”怪談

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.16 20:00心霊
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

生物学者・池田清彦が「日本の大麻問題」を語る! 多数派の意見を正しいと信じ込む若い人へ…思考停止こそダメ、ゼッタイ!(高樹沙耶・石丸元章)のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

人気記事ランキング17:35更新