本気で起こり得る人類滅亡シナリオが「キツネの家畜化研究」で判明! かなり現実的になった『猿の惑星』

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 人類最古のペットは犬であることがわかっている。人類とともに生活をしてきたペットや家畜の中でも犬はもっとも歴史が古い。それはまだ人類が狩猟生活をしていた頃、人類が倒した獲物の肉の一部をオオカミに与え、餌付けに成功したところから始まるという。

 人類が餌付けに成功した哺乳類は犬、猫、馬、牛、羊、ヤギ、豚が主な顔ぶれだ。これらの哺乳類と人類の計8種で地球上の大型生物の95%を占める。それ以外の野生動物は地球上では少数派で、絶滅への道を歩んでいる。

 たとえばアフリカ大陸でシマウマが家畜化されない理由は何か?それはシマウマの気性が荒いからだ。餌付けに抵抗し、暴れ、人間に危害を加えて柵を飛び越えて脱出しようとする。すでに家畜やペットになっている以外の動物を手なづけようとした者はこれまではすべからく失敗してきた。

 ところがこの常識に疑問を感じた遺伝学者がいた。ロシアの遺伝学者ドミトリ・ベリャーエフである。気性の荒い動物を手なづけることができないなら、なぜ人類は一番気性の荒いオオカミを手なづけて犬に進化させることができたのか?

 そう疑問を持った彼は、同じ動物の中でも気性の優しいタイプだけを選別して交配を重ねるといつか家畜やペットにすることができるのではないかという仮説をたて、それを実証することにした。

■おとなしいタイプのキツネ同志を交配させて15世代…

 具体的には人間に懐かないとされている野生のキツネを集め餌付けして、その中からおとなしいタイプのキツネ同士を交配させる実験を重ねた。

 そして15世代を経たところで、キツネは人を恐れなくなった。外見も変わり、尻尾は巻き上がり、耳は垂れ下がり、毛並みの色も変わり、そう、外見はまるで犬のようになった。彼の死後も交配実験は続けられ今ではその子孫は50世代を超え、ベリャーエフのキツネはすっかりペット化された。

 つまり人類が家畜化・ペット化できる動物は7種類しかいなかったのではなく、他にも候補はいくらでもいたのだ。

 ではその事実が判明した後、これからの遺伝学者は何を目指すのか?

 人間の代わりに労働してくれる家畜がいたら便利だろう。その筆頭候補はサルなのだが、あいにくサルは気性が荒く人間にはなつかず餌付けもされにくい。でもベリャーエフの発見に基づけばおとなしく従順なサルだけを選び、150年ぐらいかけて世代を経れば今のサルとはまったく別種の家畜に育つ可能性がある。

「それはいい考えだ」

 と思うだろうか?

 映画『猿の惑星』シリーズの第四作でわかったことは、人類が滅ぼされるきっかけとなったのは、そのようなアイデアを人類が思いついて実行したからである。新たな家畜を作ろうとするのはやめたほうがいい。

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文=ホラッチェ

フューチャリスト。近未来の経済分析が得意。ただしその分析の大半はホラだと周囲に思われている。

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