全部当たる禁断の預言書『日月神示』を書いた岡本天明の知られざる人生とは? 黒川柚月・インタビュー

増補改訂版 [日月神示]夜明けの御用 岡本天明伝』(ヒカルランド)

 『日月神示』とは、神道研究家にして画家・岡本天明(1897年(明治30年)12月4日 〜1963年(昭和38年)4月7日))が自動書記で記した高級神霊団からのお告げをまとめた書物で、日本の敗戦から復興などを詳細に予言し、的中させたことで知られる。さらに、これから訪れる、日本の恐るべき未来までもが記されているのだ。

 最近でも、「人民の邪気が凝りて、天にも地にも、わけの判らん虫わくぞ。訳の判らん病ひどくなって来るのざから、書かしてある御神名 分けて取らせよ。(夜明けの巻 第3帖)」というように、新型コロナウイルスのパンデミックをズバリ予言的中させたことで、『日月神示』に対する人々の関心はますます高まってきている。

 

 そんな話題の予言書『日月神示』の神示を降ろした岡本天明の謎めいた生涯に迫る伝記『増補改訂版 [日月神示]夜明けの御用 岡本天明伝』(ヒカルランド)が神道研究家・黒川柚月氏によって10月5日に上梓された。

 本書は2012年に出版された『[日月神示]夜明けの御用 岡本天明伝 初めて明かされる雛型神業の足跡!』に、新情報を追加したものである。日本全土を巡る岡本天明の交遊録から、近現代の日本の霊脈が見えてくる超大作だ。

 予言研究家である筆者・白神じゅりこは、これまでも『日月神示』の予言に注目し、度々言及してきた。『日月神示』によると、この世は最終的に理想的な神の世界「ミロクの世」に立て直しされる。しかし、その前に、この世界の構造を破壊するとてつもな立て替えが起こるのだ。大地震を含むあらゆる自然災害、戦争、疫病……まさに筆舌に尽くしがたい苦難が人類を襲うという。

 疫病といえば、コロナ禍によりさまざまな価値観や生活様式が一変し、文明の転換期、つまり日月神示の“立て替え”が始まったといってもいいだろう。一体日本はどうなってしまうのか、『日月神示』の予言を日本一知り尽くした黒川柚月氏に終末予言インタビューを行った。

 

◆岡本天明の謎の空白の10年

黒川柚月氏


──黒川さんが『日月神示』に興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?

 

(黒川柚月氏、以下、黒川) 10代の頃から、大本教の出口王仁三郎の予言に興味があり、読んでいたその流れで、もともと大本教の信者であった岡本天明と『日月神示』のことも知りました。でも、大本教は関西が舞台で、関東在住の私には馴染みが薄く、関西の話しが出てきても外国の話のようでイメージしづらかった。一方で、『日月神示』の発祥は千葉県にある麻賀多神社だったり、関東が主な舞台でした。それで、関東なら土地勘もあるし、研究しやすいかなと思い、日月神示の研究を始めました。

──では、岡本天明の伝記を書こうと思われたのはどうしてでしょうか?

黒川 『日月神示』は有名になりましたが、天明の人生は、謎に包まれたままでした。天明が入信していた大本教時代のことは資料に残っていたし、神示が降りて来た時のことやその後のことも天明の妻・三典※さんやその関係者から聞く機会がありました。ですが、第2次大本事件※で失職してから自動書記が始まるまで10年間のブランクだけはわからない。だけど、10年間も空白があるとなると、神示の霊性の背景まで迫ることができないし、天明の評伝をまとめるのは不可能だとずっと思っていました。

※天明の妻たち……最初の妻は、肺病で入籍後まもなく死去。天明に神示が降りたのは、2番目の妻・佳代子の時であった。佳代子が腸捻転で亡くなった後に再婚したのが、3番目の妻・三典(ルビ みのり)である。三典は、天明の亡き後、『日月神示』の原文解読に勤しみ、世に広げる役割を担った。

※第2次大本弾圧事件とは、昭和10年に起きた日本近代史上最大の宗教弾圧。天明は取り調べを受けて逮捕はまぬがれたが、大本教を離れることとなる。時を経て、千駄ヶ谷の鳩森八幡神社の留守神主になった。

 

──では、天明の10年間のブランクの情報が得られのですね?

黒川 1990年(平成2年)6月10日の麻賀多神社の「神示発祥記念祭」※に参加してから1年ほど、神社に通っていたのです。そしたら「あんた熱心だね。天明さんのことを知りたいのなら、この方に聞いたらいい」と宮守の方から、天明を知る小川さんを紹介していただきました。その人の家の離れには、かつて天明を始め、『日月神示』の関係者がよく集まっていたそうです。なので、私は1991年(平成3年)から、小川さんの取材を始めました。けれど、エピソードが飛び飛びなので、まとめることが難しかったんですよね。でも、2001年(平成13年)に、京都で、大本信徒の縁で桜井さんと知り合うことができ、その人がまさしく天明の空白の10年間を知っていたので驚きました。それと同時に、「これで岡本天明の人生の評伝を作ることができる!」と確信したんです。

※1944年(昭和19年)6月10日、千葉県印旛郡公津村台方(現・成田市台方)にある麻賀多神社において、天明は初めて神示を降ろした。以降毎年、三典さんの至恩郷主催で麻賀多神社では「神示発祥記念祭」を行っていた。

──導かれるように天明を知る人との縁がどんどんできたんですね。天明から黒川さんに伝記を書くことを託された感じがします。

黒川 それまで、天明の評伝はなかったんです。出口王仁三郎など、明治から昭和初期にかけての有名な宗教家については、アカデミックな研究者もいますし、戦前の研究資料も豊富に残っているんです。だけど、天明はその後の世代だから、戦時中から戦後にかけての資料はガリ版刷りなので残っていないんです。なので、『日月神示』や岡本天明に関する古書を偶然手に入れたりして資料にして書きましたけれどね。

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