ゲロ袋が尾行してきた!? 「ゴミ屋敷育ちの東大生」が語る“実話怪談”がブッ飛びすぎ!

3月14日発売『東大怪談』


●話題の怪談本『東大怪談収録作品がやばい

 3月14日に発売予定の『東大怪談 東大生が体験した本当に怖い話』(サイゾー)が面白すぎるとはやくもオカルト界隈で話題だ。中でも人気のあるエピソードが「お部屋そだちの東大生」であるハミ山クリニカさんが語ってくれた「壁のシミ」と「尾行するゲロ袋」だ。特に、「尾行するゲロ袋」は装丁デザインをてがけた怪談師のApsu Shusei氏も「めちゃくちゃ好きなエピソード」だと語るほどの逸話。そのエピソードはぜひ本書を読んでご堪能いただきたいが、今回は、かつてそのハミ山クリニカさんがトカナに語ってくれた汚部屋生活からの東大受験に関するインタビューを再掲する。 

 果たして、このインタビューで語られた壮絶人生を歩んできたハミ山さんが驚いた“怪異”とはいったい何なのか……想像しながら読んでいただけると面白い!

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ゴミ屋敷で暮らした「汚部屋女子の東大生」が超壮絶な部屋&勉強方法を完全暴露インタビュー! 「家に水平がなかった」の画像1
汚部屋そだちの東大生』(ぶんか社)

 部屋の写真を見せてもらい、爆笑してしまった。文字通りのゴミ屋敷である。ここから東大へ?

 ハミ山クリニカさんは東大出身で、しかも理系だ。東大出身者で理系ではあるが、実は東京芸大を中退したぐらい絵も上手いので、副業としてマンガも描く。

 そんな彼女の新刊が3月10日に発売される『汚部屋そだちの東大生』(ぶんか社)だ。心を病んだ母との生活を半自伝的に描いた、痛みの物語。

■ゴミ屋敷から東大へ

 最初に会った時、私は彼女の生い立ちを知らなかった。彼女が家を出て一人暮らしを始めた時に初めて机を買って、

「平らなところが家にあるんですよ! それまで家の中に水平がなかったですからね。全部、斜めでしたから」

と机を撫でまわしたという話に爆笑はしたものの、それが何を意味しているのかわからなかったのだ。

 東大出身者は頭がいい。クイズ番組で全戦全勝だし、クイズ番組のクイズも作ってしまうし、大きな会社ほど東大出身者が多い。頭の良さにもいろいろあるのだろうが、誰もが認める安定した頭の良さが東大にはある。

 しかし、ハミ山さんは東大出身者のイメージを完全にぶち破っている。一般的に東大出身と聞いて思い浮かぶイメージは、家庭環境に恵まれ、親が医者や大企業の幹部や官僚で金回りが良く、塾や家庭教師に相応の投資を行い、本人もがんばって勉強して合格した、という感じだろうか。多少のずれはあっても、いずれにしろ勉強の環境は守られていた人たち。

 ところがハミ山さんは家の中がめちゃくちゃなゴミ屋敷で、机どころか平ら面がないとか、ゴミ屋敷過ぎて暖房が使えず、地下鉄のホームで勉強したとか、それで東大に一発合格って、マンガのネタにしたって非現実的すぎる。

■東京のマンションでサバイバル生活

「海外ではホーダーというそうですが、母がため込み癖のある人だったんです」

 ハミ山さんはお母さんと2人暮らし。小学生までは明るくてやさしいお母さんだったが、ハミ山さんが中学生になる頃から、モノが捨てられなくなってくる。モノが捨てられない状態が何年も続くとどうなるか。

「娯楽がないわけですよ。テレビないし。あるんですけど、小学生ぐらいの時に画面が全部青くなって壊れて、その後に地デジ化した使えないテレビが鎮座してる」

 粗大ごみが家の中にそのまま増えていく、それがハミ山さん家。どういう状況だったかというと、床がない。布団はあるけども平らな場所がない。無理やり布団のスぺ—スを作り、凸凹なので間にタオルを詰める。

当時、ハミ山さんが暮らしていた部屋。足の踏み場がないというか床がない。

「へこんだところの地層がどんどん高くなっていくんですよ」

 なるほど、ゴミの層を地層というのか。ちなみにどのくらい? 30センチ? もっと?

「1メートルぐらいだと思います。場所によりますけど。床を見たことがない」

 どうやって生活していたんだ。お風呂は? 銭湯?

「お風呂の栓がすり減ってお湯が貯まらくなって、中学ぐらいの時にお湯も出なくなって。修理の人は呼べないし、物置きに」

 まさかと思うがトイレは?

「トイレも水が溜まらなくなったので、バケツで水をジャーとタンクに入れて流す。停電の時の知恵ですね」

 すごいな、サバイバルですね。

「社会人になって出張に行くじゃないですか。ホテルに泊まるのが楽しくてしょうがない。平らだし、シャワー出るし、トイレ流れるし。文明がある、ここに!って」

 文明がある!? あんたはサイパンの残留兵か。

ゴミ屋敷で暮らした「汚部屋女子の東大生」が超壮絶な部屋&勉強方法を完全暴露インタビュー! 「家に水平がなかった」の画像3
ハミ山さんはこのあたりで寝ていたらしい。2台ある扇風機やプリンターに捨てられない人の闇が見える。

■極寒の自宅、ゴミの中にすべて吸い込まれる部屋

 冬場、家が寒いから地下鉄のホームで勉強をしたそうだ。

「とにかく家が寒いんですよね。暖房はないですし、もちろん」

 もちろん? そうか。ゴミ屋敷は暖房がつけられないのか。水平面がないからストーブも置けないのか。エアコンは?

「エアコンはあるんですが、ほこりがすごすぎて点ける勇気がない」

 勇気にもいろいろあるな。冬は部屋の中でどうやって過ごしていたんです?

「外と同じ格好しているんですよ、コート着て。家の中、気温が4度」

 それこそ机も何もないから字も書けないでしょう?

「高校生は若いので、立ってられるから」

 立って勉強?

「計算はできないので、英語とか暗記科目ですね」

 場所によって科目を選んでいたんだ。

「千代田線のホームだったんですが、すごくうるさいんですよ。大声で読み上げても誰にも聞こえない」

ゴミ屋敷で暮らした「汚部屋女子の東大生」が超壮絶な部屋&勉強方法を完全暴露インタビュー! 「家に水平がなかった」の画像4
イメージ画像:「Getty Images」

 あとは図書館とか?

「ドトールはコーヒー1杯で12時間ぐらいいたことありますが、さすがに申し訳なくなってやめました」

 参考書とかは買ってもらっていた? 買ってもらえない?

「母は自分が買いたいと思ったものは買ってくる人だったのですが、参考書はわからないから買えない。私にはお金は絶対に渡さない」

 東大ですよ? せめて参考書はないと勝負にならないですよね。

「住んでいたマンションに、浪人生と思しき人がいて、ある時、その人が引っ越していくらしく受験参考書を束ねてゴミ捨て場に捨てる現場に遭遇したんですね。話したこともなかったけど、『それ、もらっていいですか…?』と聞いて、その本たちをありがたく持ち帰った」

 ゴミになるはずの本をもらったのか。

「周りの人でどんどん新しい参考書を買ってる人をうらやましくも思ったけど、知らない人のお古を何度も反復して読んだことで最終的には合格できたので、参考書は持ってる量じゃないのかもなと思いました」

■汚部屋に負けない向学心

 ゴミ屋敷での勉強は非常に難しい。机がないので布団を三つ折りにして机がわりにして勉強し、疲れたらその布団に挟まって寝たという。

「布団が机ほどには硬くないので、紙にたくさん穴があくし、平らでないので筆記用具がどんどん転がってなくなっていくし」

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