村人全員が臓器を売ってしまった「隻腎村」の実態とは!? タリバン支配下のアフガニスタンの現実
昨年8月にイスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧し実権を掌握して以来、同国の経済は混乱し続けている。国連によると、人口の59パーセントにあたる2400万人以上が飢饉にさらされており、50万人の国民が職を失っているという。貧困に苦しむ国民の中には、臓器を売って食料を購入する者や、借金を返済する者も後を絶たない。臓器を売るか、子供を売るかを迫られ、前者を選択した者も多い。
先月、同国西部に位置するヘラート州のシェンシャイババザール村で撮影された衝撃的な写真が話題となった。その写真には、脇腹の傷跡を露わにした男女の姿が写っている。彼らはシェンシャイババザール村の住民で、金銭を得るために闇市場で腎臓の1つを売ったという。写真が各国メディアで報じられたことで、シェンシャイババザール村は“One kidney village”として全世界に知れ渡った。“One kidney village”とは、「腎臓が1つしか残っていない村」という意味で、日本語では「隻腎村」とでも訳せるだろう。
村人の一人である男性、ヌールディンさん(32)は、フランス通信社の取材に対して「私は(腎臓を)売りたくありませんでしたが、選択肢がありませんでした。子供たちのためにそうするしかなかったのです。今は後悔しています。もはや仕事ができませんし、痛みがあって重いものを持ち上げることすらできなくなりました」と語った。彼は失業中である。
一方、三児の母であるアジザさん(20)は、臓器ブローカーが腎臓の購入者を見つけるのをしばらく待っていて、もし購入者が見つかられなければ、1歳の娘を売らなければならなかったと述べた。 彼女の夫は屋台で物売りをしているが、1日1.50ドル(約180円)しか稼げない。そのため、彼女の子供たちは「物乞いをしながら通りを歩き回っている」という。
別の若い母親であるシャキラさん(19)は、家族の借金を返済し、2人の子供に食糧を買うために腎臓を売った。約2,000ドル(約24万円)を受け取った後、約1,650ドル(約20万円)の借金を返済し、残りで食糧を購入した。タリバンが実権を握った結果、国の経済が行き詰まり、外国からの支援も断たれたことに対して、シャキラさんは「誰も私たちを助けてくれませんでした」と訴える。
人間の臓器を売買することは世界中のほとんどの国で違法とされる。一方、アフガニスタンでは臓器売買が規制されていないため、ドナーから書面による同意が表明されている限り、医師は罪に問われない。手術を実施している病院に勤務する医師らは、臓器が誰から提供されたのか、もしくは誰に移植されたのかについて一切関知しない。彼らにとって、臓器売買の真実に関する調査は「自分たちの仕事ではない」という認識である。
アフガニスタンで売られた腎臓の数を正確に知る術はない。しかし、過去数年間にヘラート州だけで何百もの腎臓摘出手術が行われたことは記録に残っている。しかも、国の経済状況が悪化するに従って、手術の回数は増える一方である。こうした手術の実現をサポートするのが臓器ブローカーである。彼らは、臓器移植を必要としている人やそのための費用を支払える人と、現金を切実に必要としている人とを仲介する。
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2024.10.02 20:00心霊村人全員が臓器を売ってしまった「隻腎村」の実態とは!? タリバン支配下のアフガニスタンの現実のページです。アフガニスタン、臓器売買、腎臓、タリバンなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで