「国がもたない。核シェルター普及が急務」石破茂元防衛相が警告! 歴史とウクライナ情勢で露呈、日本の絶望的現状(レポート)

 長期化するウクライナ戦争、現実味を帯びる台湾有事――。混迷の度合いを深める国際情勢が「第三次世界大戦に発展しかねない」という専門家の分析もあるが、今後の世界そして日本はどうなってしまうのか。もしも全面核戦争となれば、核シェルターの普及率がわずか0.02%と他国よりも圧倒的に低い日本は、大多数の国民が命を落とすだろう。

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左から石破茂氏、原田義昭氏、アンドリー・グレンコ氏、筆者

「核シェルター普及協会」代表でもある筆者は、今月21日に元防衛大臣の石破茂氏、元環境大臣の原田義昭氏、そして、ウクライナの国際政治学者のアンドリー・グレンコ氏を招いて「ウクライナ戦争と核シェルター」に関するシンポジウムを開催した。そこであぶり出された日本の本当の問題とは?


■ウクライナを勝たせなければ世界大戦に

 現在ウクライナ情勢をめぐっては「もしもウクライナがブダペスト覚書(ソ連崩壊時、ウクライナ・ベラルーシ・カザフスタンが核を廃棄する代わりにアメリカ・イギリス・ロシアがこの3カ国の安全を保障するという内容)に署名せず、核を廃棄しなければ、ロシアはウクライナに侵攻できなかったのではないか」という見解がある。

 これに関して石破氏が、グレンコ氏に「なぜウクライナはブダペスト覚書に署名し、核兵器をロシアに渡したのか」と質問すると、グレンコ氏は「そもそも、ブダペスト覚書にアメリカがウクライナを守る(軍を派遣するという具体的な詳細)など書いていないのに、当時のウクライナ人が勘違いした。実際のところブダペスト覚書の内容は、協定諸国は侵攻しないこと、侵攻する国に対しては抗議する、というもので今回アメリカは安保理で問題提起をしているので、ブダペスト覚書を守っているということになる」と分析。

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イメージ画像:「Getty Images」

 さらにグレンコ氏は、今後の戦況について「しばらくは膠着状態だろう。しかし、ロシアが国家総動員令をかけて全ロシア軍を派兵してきたら別だ。核兵器の使用も考えられる。プーチンは『祖国の領土を取り戻すための正義の戦争』『そのためには手段は問わない』と考えているからだ」と解説。そして「プーチンが核兵器使用を決断したら、それは1発や2発にとどまらず、他の民主主義諸国にも脅威が及ぶ。最悪の場合、中国・ロシアのような独裁国家と民主国家との世界戦争にまで発展する可能性もある。それを防ぐためには、ウクライナにさらなる武器支援と各国の軍を派兵して、ウクライナを勝たせるしかない」と訴えた。

 核シェルターに関しては、「(核兵器以外の)ミサイルから身を守るのにも有効。戦闘地域のウクライナ人は現在シェルターに避難しているが、ウクライナでもシェルターが不足しており、どこにシェルターがあるか分かっていないウクライナ人もいるほどだ」と明かした。

■ウクライナに多国籍軍・NATO軍を派兵すべき

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シンポジウムの様子。中央右が原田氏。

 また、ウクライナ情勢について見解を求められた原田氏は、「このままでは残念ながらウクライナは負けるだろう。アメリカはウクライナに武器だけ支援しているが、それでは戦争を長引かせるだけ。それでもアメリカの軍需産業は儲かるだろうが、ウクライナを勝たせるには徹底的に攻めるしかない。プーチンが核兵器の使用をほのめかしても『やるならやってみろ』という強固な姿勢が必要。
これはロシアの国家的犯罪・テロであり、多国籍軍・NATO軍を派兵すべきだ」と持論を展開した。


■軍事バランスの不均衡が戦争を招く

 これを受けた石破氏は、「ロシアという国はソ連時代から約束を破ってきた。日ソ中立条約があったにもかかわらず、ヤルタ会談を経て太平洋戦争終戦直前に日本に攻め、北方領土を奪い取った。そしてアメリカは、ヤルタ会談(の密約)でソ連が日本を攻めることを知っていた」「アメリカは“ソ連によって”(日本が降伏して)太平洋戦争が終戦したことにさせたくなかった。だから、8月6日に広島にウラニウム型のみならず、9日にも長崎にプルトニウム型という2種類の原爆を落として、アメリカの力を見せつけた」と歴史を紐解きながら解説。

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左から石破茂氏、原田義昭氏、アンドリー・グレンコ氏、筆者

「人類の歴史は戦争の歴史であり、その背景には宗教・民族・領土問題・政治体制・経済格差がある。しかし、軍事面の勢力バランスが均衡していれば戦争は起きにくくなる。冷戦時代も戦争が起きなかった。ウクライナ侵攻が起きたのも軍事バランスの不均衡、アメリカの弱体化が原因だと思う」と分析した上で、「現在のアジアも軍事バランスの不均衡になっている。習近平が共産党国家主席の3期目を務めることになれば、任期内に台湾を攻めるつもりだろう。アジアは集団的自衛権を行使できる体制と、日本は核は持てないから核シェアリングの議論が必要だ」と危機を訴えていた。

 また、石破氏は日本の問題点について「太平洋戦争時代から、国が市民を守るという発想が弱い」と指摘。「東京大空襲では(シェルターになりえる)地下鉄銀座線に乗っていた人々を地上に出していた。イギリスはドイツから57時間空襲を受けても死者は4万7000人、しかし、東京大空襲は10万もの人が命を落としている」「昭和20年7月の岐阜空襲では、市民が防空壕に逃げてはならないとされた」と、実例を挙げながら「国には市民を守る役割がある。防衛費を倍に増額したとしても、市民が死んでしまえばどうしようもない。国がもたない。核シェルターの普及は必要」と20年前から必要性を訴えてきたことを強調し、来場者の共感を得ていた。


 今回のシンポジウムにおいて、登壇者が共通して訴えていたのは日本の危機感の薄さだった。問題が何も解決しないうちに報道の中心や市民の関心が次から次へと移り、物事を大局的に捉えることができない。世界のパワーバランスが激変する中、平和を保つためには核シェルターの整備を含め、国民一人ひとりの意識が求められるだろう。

文・写真・取材=深月ユリア

 

深月ユリア
ポーランドの魔女とアイヌのシャーマンの血をひき、魔女占い師・魔女優・オカルトライター・ホラー映画プロデューサーとして国内外で活動。深月事務所代表。最新刊『世界の予言2.0 陰謀論を超えていけ キリストの再臨は人工知能とともに』(明窓出版)大好評発売中!

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