究極の陰謀書「聖書外典・偽典」がヤバすぎる! 少年イエスが殺人を… 隠蔽された不都合な真実か?
■外典と偽典が姿を消した本当の理由
このように過激な内容が含まれることもある外典・偽典だが、時の経過と共に少しずつ“正典には当たらない”との評価が定まり、排除の方向へと向かっていった。この点について「宗教指導者たちがイエスに関する不都合な真実を隠蔽した」という数々の陰謀的指摘もあるが、実のところ外典・偽典が姿を消した最大の理由はイギリスで発達した印刷技術にあったといわれている。
16世紀後半以後、イギリス国教会の信仰と慣行に反対し、徹底した宗教改革を主張して「ピューリタン革命」を起こしたピューリタン(清教徒)は、「Sola Scriptura(聖書のみ)」の基準を掲げて聖書の正典だけを認め、外典を正典から除外した。その結果、イギリスのほとんどの出版社がこの時期に外典の印刷を停止しているのである。
しかも、単純に聖書のページ数が少なくなるほどに印刷と輸送に関わるコストが下がり、そのぶん多くの信者に聖書が行き渡ることになる。そして、この時期に大量に印刷されはじめた外典のない聖書が広く普及することで、外典の存在は徐々に忘れ去られていったという話が最も強い説得力を持っているという。
しかし、多くの外典や偽典が姿を消し、歴史から失われたことで、ヨーロッパ近代においてギリシャ、ローマ、エジプトの宗教に対する理解に障壁が生まれたことも事実で、むしろ現代において考古学者と歴史家は、時間の経過とともに失われた偽典を再発見する作業に取り組んでいるという。
オルタナティブメディア「Ancient Origins」のロビー・ミッチェル氏の指摘によれば、外典や偽典は意図的に隠されたものではなく、探せば出てくるものであり、陰謀論的な色彩はないという。
むしろ、そこに記された原始キリスト教と原始ユダヤ教の教えは、今日の我々に興味深い洞察をもたらしてくれるのだ。中にはエンタテインメントとして執筆されたと思われる偽典も存在することから、聖書の外典と偽典の研究とは、その時代を生きた人々の豊かな精神活動の一端に触れることでもあるのかもしれない。
参考:「Ancient Origins」、ほか
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