統一教会にハマる信者は何に魅力を感じるのか? サイコドクターにインタビュー(前編)
かつてオウム真理教は、LSDや覚醒剤・幻覚剤を使って信者に霊的体験をさせたり、麻原彰晃(松本智津夫)の空中浮遊のような手品を見せられたりすることも、信者がハマり込んだ一因だと考えられる。
しかし、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の場合は、霊的体験はあまり聞かないし、財産を「お布施」で搾り取られ、自由恋愛もできず、筆者にはその魅力がまったく見えてこない。統一教会は名前を隠して勧誘することもあるということが報じられているが、途中で統一教会だと分かった時点でなぜ辞めないのか? 摩訶不思議としか言いようがない。
この度、筆者はその理由を探るため、麻布メンタルクリニックの臨床心理士・公認心理師である黒岩貴氏にインタビューした。
黒岩氏は大学在学中に宗教研究会にも入っていたこともあり、統一教会系の大学サークルの手口にも詳しい。また、オウム真理教や統一教会の元信者や信者の家族のカウンセリングや洗脳を解いた経験もあるという。
■統一教会にハマる信者は何に魅力を感じるのか?
――黒岩さんが大学在学中も統一教会サークルがあったのですか?
黒岩貴(以下、黒岩) 当時は一部の大学では全共闘(全学共闘会議)の学生運動がまだ残っていて、革マル・中革などの共産党系学生団体があり、大学に大きな立て看板があったり、ヘルメットを被っている人たちがいたりしました。受験生はそういったものものしい雰囲気のなか試験を受けていたんですよ。ただ、赤軍派の過激な活動や(南北)朝鮮戦争もあり、「暴力的な革命共産主義をやめて平和になりましょう」という風潮が生まれてきた頃でもあって、その流れで『反共(産)』の国際勝共連合(実態は統一教会の一派)が勢力を拡大し、共産党系学生団体に取って代わっていきました。いくつかの大学では全共闘の代わりに、反共の立場を取る「原理研究会」(実態はキリスト教統一教会原理主義)などができ、大学は表向き平和な雰囲気になっていきました。原理研究会は他の大学との横の繋がりも強くありましたね。
しかし、各大学または大学自治会は、原理研究会の思想と行動に問題点を見つけるようになり、彼らは大学から姿を消すことになります。原理研究会の思想には、平和や愛など普遍的なテーマも多くありましたが、「悪因縁があるから、先祖供養しなければいけない」「悪因縁の運命は存在するので回避が必要」という考えが強く、学生らは強迫観念にとらわれるようになったんです。勧誘が激しかったのと、お布施(寄付金)の問題もありました。当時はスピリチュアルブームの少し前でしたが、「真光」という宗教団体やネットワークビジネスのアムウェイも学生の間で流行り、社会問題にもなり、大学側も困っていたんですよ。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊統一教会にハマる信者は何に魅力を感じるのか? サイコドクターにインタビュー(前編)のページです。カルト、統一教会、心理学、マインドコントロールなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで