第2の“水”が存在か? 水分子が鎖状に連結する可能性が最新研究で判明
スーパーに行けばさまざまな種類のミネラルウォーターが売られているが水はしょせん水であり、そもそも水蒸気を冷却した蒸留水はどこで何を飲もうが同じである。だが驚くなかれ、最新の研究では我々が今飲んでいるこの水とは違う種類の水があることが示唆されていて興味深い。そのオルタナティブな水とはどんな水なのか――。
■固体となった氷はさらに15種類に姿を変える
水は液体であり、0度以下になれば氷となって固体になり、100度以上になって沸騰すれば水蒸気という気体となる。液体、固体、気体の3つが水の“相”ということになり、この相が関わることは相転移と呼ばれている。
しかしこの相の中にもざまざまな状態があり、固体である氷は実は15種類に分類できるという。
我々が一般的に扱っている氷は氷Ih相(こおりいちエイチそう)として知られており、水の分子が六角形の繰り返しのパターンで配置されている。
しかしさらに温度をマイナス100度まで下げると、氷の結晶の分子は新しいパターンである立方体の格子に再配置され、氷Ic相となる。
さらに冷やし続けると原子は再び再配置され、氷XI相が形成され、斜方晶と呼ばれる結晶構造を持ち、各辺の長さが異なるように伸びた立方体となる。そして今後は圧力をかけると、さらに異なる種類の氷の結晶が得られ、こうして氷は全部で少なくとも15の個相(物質が固体となっている状態)の種類に姿を変え得る。
これは珍しいことではなく、ほとんどの化学物質には複数の個相があり、温度と圧力を変えることで、原子と分子を強制的に異なる方向に向けることができるのだ。ある個相と別の個相の特性が似ている場合もあり、非常に異なる場合もある。
わかりやすい例としてスズ(錫)がある。室温で1気圧下のスズはβ (ベータ) 固相にあり、柔らかいものの脆くない光沢のある金属である。しかしこのβスズが十分に冷やされると、α(アルファ)スズに変化する。αスズは、重力で粉々に砕けるほど弱い非金属になるのだ。
■水分子が絡み合ったもう1つの水が存在する!?
このように水の固体状態は複数あるのだが、水の液体状態についても同じことが言えるのかどうかは微妙で、今のところは実験で液体の水の別の“液相”を再現することもできないようだ。
面白いことに液体の水は4度まで冷やすと収縮して最も密度が高くなり、そこから凍り始めると膨張して軽くなっていく。 このように温度と密度が一致しないというのは物質全般の中でもかなり珍しい性質なのだ。
そして今月「Nature Physics」に掲載された論文は、このように珍しい物質であるからこそ、液体の水にはオルタナティブが存在する可能性を示唆している。
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2024.10.02 20:00心霊第2の“水”が存在か? 水分子が鎖状に連結する可能性が最新研究で判明のページです。水、シミュレーション、分子、氷、液体などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで