永久凍土から発掘された「2万年前の方舟」の謎… 時代錯誤な構造と材料に研究者困惑

■超古代文明が繁栄していた証拠なのか

 人類の文明が鉄の釘を作れるようになったのはせいぜい6000年前であるといわれていることから、2万年前のボートに鉄の釘が使われていたのは大いなるミステリーである。

 さらに大きな問題は、船が何万年も前の永久凍土層にどのようにしてたどり着いたのかということだ。あたかもこの船は地層を潜って2万年前に到達したかのような有様なのだ。

 そしてまた別の見解もある。この鉄の釘は確かに数万年前に作られたものであり、クロマニョン人の時代にはその傍らで地球上に超古代文明がすでに存在していたという説明である。もちろんこの見解はメインストリームの歴史的教義から外れるものだ。

 ロシア科学アカデミーの研究者であるアントン・シリヤノフは、昨年半ばにこのテーマについて次のように語っている。

「私たちはまだ、この発見について完全なコメントをする準備ができていません。地質学的データは、船が古代の川床にあった当時、数メートルの永久凍土の層があったことを示しています。一方、アーティファクトの鉄製のオブジェクトは、その時代には珍しいものです。ナリヤン・マルでの発見は、科学者にとって単なるミステリーではなく、本当の探偵小説です」(アントン・シリヤノフ)

 発見された鉄から鍛造された釘はもっと新しく、最大で数百年前のものであるともいわれている。一方で永久凍土は何万年も前のものであり、新しい船がどのようにして地球の古代の層の下にたどり着いたのか、現状で科学者は理解できていない。

 研究者たちは、ナリヤン・マルからの船の謎を解き明かそうと探究し続けており、おそらくこれはこの地にあった未知の文明の痕跡の1つになる可能性があるという。

 北部の人々の古代の伝説は、冶金の技術を持つ神話上の人々について語っている。彼らは炉のある石造りの家に住んでいて、そこでさまざまな金属を溶かして互いに組み合わせることができたといわれている。それは単なる神話であり、おとぎ話として片づけることはできないのかもしれない。

 船の残骸が発見された場所の発掘は現在中断されている。その理由は考古学者は脆く壊れやすい船体に損傷を与えることを恐れているからだ。

 今後、慎重に慎重を重ねて発掘が再開された暁には、さらに驚くべき発見がもたらされるのだろうか。超古代文明が存在した決定的な証拠が明るみになる日は近いのかもしれない。

参考:「Anomalien.com」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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