永久凍土から発掘された「2万年前の方舟」の謎… 時代錯誤な構造と材料に研究者困惑
ロシア連邦北西部のネネツ自治管区の中心都市、ナリヤン・マルの溶け出した永久凍土から出てきたのは船の残骸であった。船体が出土した地層は1万8000年~2万年前のものとされ、その時代の人類が鉄の釘で組み立てたボートを使っていたとは到底考えられないのだが――。
■永久凍土から発掘された2万年前の船の残骸
昔の人々の暮らしの実態がどのようなものであったのか、我々は各種の史料から検証し整合性のある再現をするしかない。そして往々にして必要以上に昔の人々の暮らしぶりを初歩的で原始的なものであると考えがちになるのかもしれない。とすれば現代の我々の暮らしに匹敵する古代文明はあったのだろうか。
ご存じのように昨今の地球温暖化により永久凍土層が後退し、以前は氷の層の下にあった土地が露出している。現在この現象はどこでも起こり得るものであり、ロシアのナリヤン・マルも例外ではない。2020年6月、ここで注目すべき発見があった。
これまでの永久凍土が解凍された地域で、地元住民はこれらの土地では珍しい奇妙な土壌を発見した。その土壌は腐植質と黒い土が高い含有量で構成されていたのである。
ここにこれだけの量の土があったという事実そのものが、かつて活発な泥流があったことを物語っている。発見された現場に到着した専門家は、7~8千年前にここに川床があったことを突き止めた。おそらく永久凍土化は何万年も前から進行していたので、泥流の水脈自体はさらに古いものであったと考えられるのだ。
興味深い発見はそれだけではなかった。黒い土の山の中で、科学者たちは古代のボートや小さな船の残骸を発見したのである。船体の全長は10メートルを超えるもので、木製の船体は鉄の釘で固定されて組み立てられていたために、時代を考慮した研究者はすぐに当惑した。
割り出された事実は、永久凍土がまだこれらの土地を完全に覆っていなかった当時、航行可能な川が存在したのは少なくとも1万8000年~2万年前であったということだ。しかしそれほどの昔の人類には鉄の釘を作ることもできなければ、全長10メートル以上のボートを作ることなど到底できるはずもなかったのだ。
さらにこの発見を注意深く分析すると、船にはさまざまな古代の動物の骸骨が残されており、船内にそれらの動物がいたことが判明した。船内にいた動物はビーバー、キツネ、オオカミ、さらにはマンモスまできわめて多様であった。
「スラブ文化では、(ノアの)洪水の話に似た世界的な大変動について言及されています。見つかった船は本物の方舟に似ています。なぜそこにはさまざまな動物の痕跡が残されているのでしょうか?」と、考古学者の1人は語っている。
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