日中戦争で3000人の中国兵が消えた集団失踪事件! 未解明歴史ミステリー、異世界に消えた?

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 日中戦争の最中、南京に配置されていた3000人の中国兵がある日忽然と姿を消していた――。なぜ、どのようにして謎の集団失踪が起こったのか。

一晩で消えた3000人の兵士

 各地で激しい戦闘が続いた日中戦争では双方で多くの人命が失われたが、最も奇妙な兵員の損失はある日忽然と消えた南京大隊の3000人であった。この集団失踪事件でいったい何が起こっていたのか、歴史家の間でもコンセンサスはまだ得られていない。

 日中和平交渉が決裂した1937年12月、日本軍の本格的な南京攻略を前に、中国軍兵士3000人からなる大隊が南京郊外の拠点に配置された。大隊はそこに重火器や野戦砲を設置し差し迫った日本軍の進軍に徹底抗戦し、揚子江に架かる橋を防衛すべく急ピッチで陣地を築いたのだった。

日中戦争で3000人の中国兵が消えた集団失踪事件! 未解明歴史ミステリー、異世界に消えた?の画像1
「War History Online」の記事より

 12月9日の夜、大隊の指揮官は部隊の様子を見届けた後、いつものように就寝したのだが、翌日の12月10日の朝、補佐官の不穏な知らせで起こされた。報告によれば、防御ラインに配置された大隊が信号や呼び出しに応答していないということであった。

 すぐに調査のための小隊が編成され派遣されたのだが、彼らが防御ラインに到着したとき、現場が完全に放棄されていたことを知って愕然とする。

 散発的な戦闘に巻き込まれたのかとも思われたが、戦った痕跡はまっくなく、重火器は無傷で設置されており発射の準備が整っていた。装備はそのままに兵員と下士官あわせて3000人が忽然と蒸発してしまったのだ。

 昨晩熟睡していたせいなのかわずかな人数の残された兵士がおり、当然大隊について詳しく聞かれたのだが、昨晩戦闘があったはずはなく、大隊にどのような動きがあったのかまったくわからないと述べるのみであった。または揚子江の橋を警備していた兵士も、昨晩橋を渡った部隊はないと報告した。一晩の間にいったい何が起こったというのだろうか。

日中戦争で3000人の中国兵が消えた集団失踪事件! 未解明歴史ミステリー、異世界に消えた?の画像2
画像は「Wikimedia Commons」より

集団逃亡説か、パラレルワールド説か

 3000人の大隊にいったい何が起こったのか。

 まず最初に検討されたのは、彼らが日本軍に降伏したという仮定だ。大隊にとって可能な選択ではあったが、可能性は低いと考えられた。投降した場合は彼らは橋を渡って南京に行く必要があるが、そこで警備していた兵士たちは何も見ていなかったからだ。

 中国人は捕虜が日本人から受けた恐ろしい扱いを重々知っていたので、亡命の希望もありそうになかった。大隊が日本軍に投降して連行されていたら、彼らは拷問されるか、無残にも殺されていた可能性が大いにある。南京で降伏した兵士についての情報や噂もなく、後に日本人によって提供された情報にもそのような話はなかった。

 別の考えられる理論としては、兵士たちが任務を放棄して集団で離脱した可能性である。これは非常に合理的な理論であり、大隊は当初から戦意を喪失していたり、状況に絶望を感じていた可能性がある。橋は南京へ向かう唯一の道ではあったが、この地域を離れるための唯一の道ではなかったのだ。事前に入念な計画があれば、一晩で気づかれずにこの戦線から大隊が離脱することは可能であったかもしれない。

 南京地域の農民たちは、逃亡する兵士たちを喜んで助けたかもしれない。そしてもし兵士たちが本当に逃亡を図っていたのならば、中国軍はこの情報を隠蔽した可能性が高い。大規模な兵員の脱走のニュースは軍全体の士気を低下させ、中国政府を弱体化させるプロパガンダを日本人に提供するだけになってしまうからだ。

「集団逃亡説」は可能に思えるが、この当時の南京地域の植生は伐採によってかなりまばらで、草木によって3000人の兵士を十分に隠すことはできなかったとの指摘もある。

 また日本の報告によると、彼らは中国兵のグループに遭遇したことは一度もなかったという。これだけ多くの兵士が付近で隠れているのは難しく、もし彼らが集団逃亡したのであれば、少なくとも数人くらいは目撃されていたに違いないということだ。

日中戦争で3000人の中国兵が消えた集団失踪事件! 未解明歴史ミステリー、異世界に消えた?の画像3
画像は「Wikimedia Commons」より

 この話題を取り上げた軍事系メディア「War History Online」の記事で筆者のクラウディア・メンデス氏は、この時に大隊がパラレルワールドに消えた可能性を指摘している。我々の宇宙が目に見えない多数のパラレルワールドに囲まれている場合、これは理論的には可能であるはずということだ。

 またこの物語の別のバージョンでは、この事件が南京の戦いの直前の1937年12月に起こったのではなく、この事件は南京攻防戦から1年半後の1939年の出来事だと主張している。

 しかし「集団逃亡説」の視点からは、大隊の逃亡は本格的な戦闘の直前の1937年12月に行われたとするほうが合点がいくのも確かだろう。そしてそもそもこのストーリーは確実な歴史的証拠がない話であり、この南京大隊は存在しないまったくの捏造である可能性を指摘する声もあるようだ。

 はたして日中戦争中の戦地で、3000人もの将兵が全員突然蒸発する事件は起きたのだろうか。この件について続報があればまたお伝えしたい。

参考:「That’s Shenzhen」、「War History Online」、ほか

文=仲田しんじ

仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji
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