妊娠するラブドールに死体絵画… 芸術家が集まる別府の特異性とは? 驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する奇妙な本
海外の現代アーティストはSNSで青田買い!
藤井:同じくバロック絵画から影響を受けたイタリア人画家に、ロベルト・フェッリがいて、彼も40代です。特にカラヴァッジョからの影響が指摘されています。やはり古典的な画風で天使などを描き込んでいますが、そこに現代的な解釈を加えるといった作風で、スチームパンクのような雰囲気もあります。
――こういった海外アーティストの情報は、ネット検索やSNSでアンテナを張っている感じですか?
藤井:そうですね。ネットのおかげで海外の若手アーティストにも直接アクセスできて、作品に出会えるので、やっぱり便利な時代だと感じますよ。例えばギレルモ・ロルカというチリの若手画家は、インスタグラムでその存在を知りました。ギュスターヴ・ドレから影響を受けているそうです。かわいらしい少女をよく描いていて、リアリスティックな幻想的な雰囲気の絵画にグロテスクな描写を入れ込むのが、彼のスタイルです。幼少期には誰かが自分を殺したがっているという妄想を抱えていたそうです。いずれは彼の作品も日本で見てみたいですね。
――もちろん、今回紹介した現代アーティストの画集以外にも、ゲンシシャは骨董品などもコレクションされているわけですからね。守備範囲が広いですね。
藤井:やっぱり、土地柄のおかげですかね。今、僕がSNSでつながっているだけでも300人程度はアート系の友人がいますからね。弁弾萬最強という名前で活動している美術家の飯島剛哉さんが、「作家がみた別府」という芸術家を別府に招くイベントをやってくれているんですよ。イベントの後には飲み会もあります。そんな彼は先日、大分市の中心部を歩行者天国にしたアートイベントで、背中に「犬」と書かれた紙を貼り付けて、人混みの中を四足歩行する「犬」というパフォーマンスをやっていました。頭からゴミ袋をかぶって、ソーセージを与えると喜びます。別のイベントでは、展示を見に来た鑑賞者の目の前で、でんぐり返しをするというパフォーマンスをしていましたね。
――大分県でやるにしては前衛的ですね(笑)。「犬」はなんだか炎上しそうな題材ですが、表現しないと気が済まない何かが、きっとあったんでしょうね……。
藤井:そんな彼の呼びかけで、この間は会田誠さんの妻で自身もアーティストの岡田裕子さんが別府に来ていました。地方にいながら、彼らと飲めるのはありがたいですよ。女体盛りをしてその様子を映像作品にした映像作家の椚あすみさんも、うちに遊びにきます。
――彼らにとっては、ゲンシシャ自体が、もはやディープな拠点のひとつになっていると思いますよ。しかし、別府市は2030年までに、そんな人物たちを1200人集めるんですか?(笑)。にぎやかな未来が待ち受けていそうですね。
書肆ゲンシシャ
大分県別府市にある、古書店・出版社・カルチャーセンター。「驚異の陳列室」を標榜しており、店内には珍しい写真集や画集などが数多くコレクションされている。1000円払えばジュースか紅茶を1杯飲みながら、1時間滞在してそれらを閲覧できる。
所在地:大分県別府市青山町7-58 青山ビル1F/電話:0977-85-7515
http://www.genshisha.jp
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2024.10.02 20:00心霊妊娠するラブドールに死体絵画… 芸術家が集まる別府の特異性とは? 驚異の陳列室「書肆ゲンシシャ」が所蔵する奇妙な本のページです。アート、大分県、会田誠、書肆ゲンシシャ、別府、アニッシュ・カプーア、リボーンドールなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで