本物の蟻入りバレンタインチョコのレシピを紹介! アメリカで人気沸騰!?

クモは本当にチョコレート味なの?

 ところでチョコレートといえば、巷では「クモはチョコレート味」なんてウワサが流れている。この話の出どころは、自衛隊の情報がファイル共有ソフトによって流出し、そのなかにあった“サバイバルハンドブック”に「クモはチョコレート味」と記載されていたのが広まったからだと言われている。今では、ネットだけでなくマンガ(グルメマンガ『ザ・シェフ』や、陸ガメの暮らしを描く『カメオドール』)にも登場し、いつの間にか昆虫食に興味のない人の間でも広く知られる雑学となってしまった。

 実は「クモは本当にチョコ味がするかどうか」は過去にTV番組などでも検証されていて、「チョコ味とは言い難い」という結論が出ているのだが、いまだにそう信じる人は少なくない。このままでは、お目当ての彼にクモをトッピングした手作りチョコを贈ってしまう女子も出てくるのでは…!? そうなっては一大事ということで、「クモはどんな味がするのか」を今一度、ここでおさらいしておきたい。

・クモの味再検証

 さて、「クモ」とひとことでいっても種類はたくさんあるのだが、筆者が実食したクモは「ジョロウグモ」と「タランチュラ」だ(※クモは昆虫ではないのだが、広義の虫と考えていただければ)。

 まずジョロウグモは腹部の外皮が柔らかいので、調理は形が崩れない「蒸し」が一番だ。うまみが逃げない調理法なので、素材の味もしっかりと味わえる。火が通ったら硬い脚は8本とも取り除き、少々の塩をふって口に入れると……プチッという食感のあとに、しっかりしたうまみと上品な香りが広がる。他の食材に例えるなら、「枝豆」そっくりだ。「チョコ豆」という食べ物があるのでチョコのトッピングにしても悪くはないのだが、繊細な味と香りがチョコの強さにかき消されてしまい、クモ味を楽しむ食べ方とは言い難かった。

 お次はタランチュラ。カンボジアではタランチュラのフライが“国民的スナック”といわれるほど有名で、最近ではやや高騰傾向らしいが、市場へ行けばタライに山積みになったインパクト大の光景が見られるという。筆者は、家で飼育していた手の平大サイズのものを素揚げして食べてみたが、その味は「カニみそ」である。お腹の中身は、確かに茶色でチョコレートに見えなくもないのだが……やはりちょっと無理がないか!? 見た目と味が共通するなら、脱皮したてのゴキブリやミールワーム(ゴミダマシムシの幼虫)は、ホワイトチョコの味でもよさそうなものだが、もちろん両者ともホワイトチョコの味ではない。脂肪分によるコクと甘みはあるが、カカオバター特有の口どやけネットリ感とはまた別モノだ。

 ……ということで、バレンタインの“虫チョコ”にはクモではなくアリがオススメ! 告白が成功するか否かは、日頃のがんばりと運次第かもしれないが……。

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文=ムシモアゼルギリコ

昆虫食ポータルサイト「むしくい」管理人。著書に『むしくいノート びっくり!たのしい!おいしい!昆虫食のせかい』(カンゼン)がある。

@mushikui_net

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