ストレスで白髪が増えるメカニズムとは? 興奮すると色素産生能力が奪われる

 2020年1月、学術誌「Nature」に発表された研究によって、”闘争・逃走反応”の過程で分泌が促進されるノルアドレナリンこそ、白髪の”真犯人”であることが明かされた。

 人体は身の危険を感じるような脅威に晒された時、闘うか逃げるか、いずれにせよ素早く動くためのウォーミングアップとして、自動的にノルアドレナリンが盛んに分泌されるようにできている。この成分がわれわれの生存率を高めている一方で、副作用として毛包の幹細胞から色素産生能力を奪っているのだという。メカニズムについて詳しく解説した当時の記事を再掲する。

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※ こちらの記事は2020年2月8日の記事を再掲しています。

 年齢を取ったことをしみじみ実感させてくれるのが白髪の増加だが、単純に加齢が問題ではないことは、周囲の中高年の頭髪事情を眺めてみればよく理解できる。そんな白髪の“真犯人”が、米ハーバード大学の最新の研究で特定されたようだ。

ノルアドレナリンが白髪の“真犯人”

 身の危険を感じる脅威に直面した時、人は“闘うか”それとも“逃げるか”の選択(闘争・逃走反応、fight-or-flight response)の即断を迫られる。この時、われわれの身体の中ではノルアドレナリンが盛んに分泌されている。ノルアドレナリンのレベルが高まると交感神経系が刺激されて心拍数が高くなり、脂肪からエネルギーが放出されて身体が機敏に動けるように準備が整う。つまり、闘うにしても逃げるにしても、素早く動けるように身体が自動的にウォーミングアップして、スタンバってくれるのである。

ストレスで白髪が増えるメカニズムとは? 興奮すると色素産生能力が奪われるの画像1
画像は「Sci Tech Daily」より引用

 だが、このノルアドレナリンにあらぬ嫌疑がかけられている。ノルアドレナリンが白髪の“真犯人”であるというのだ。

 米ハーバード大学とブラジル・サンパウロ大学の合同研究チームが2020年1月に「Nature」で発表した研究では、マウスを使った実験でノルアドレナリンが毛包の幹細胞から色素産生能力を奪い、白髪を出現させているメカニズムを解き明かしている。

ストレスで白髪が増えるメカニズムとは? 興奮すると色素産生能力が奪われるの画像2
画像は「Sci Tech Daily」より引用

 毛髪の生産拠点である毛包は、特定の幹細胞が色素産生細胞のリザーバーとして機能している。毛髪の再生プロセスにおいて幹細胞の一部が髪を着色する色素産生細胞に変わり、色のついた髪の毛を生産するのだ。

 研究チームはマウスを使った実験で、ノルアドレナリンのレベルが高まると毛包の幹細胞を過剰に活性化させることを突き止めた。過剰に活性化することで幹細胞はすべて色素産生細胞に変換されてリザーバーを枯渇させてしまい、それ以降は白髪のみが生産される状態になってしまうというのである。

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